第八百八十五話
「付近にはおらぬようじゃな」
入り口周辺を確認する機能を使い例のパーティーが居ない事を確認する。もし迷い家からでるのを見つかって、自分達も入れろと喚かれたら面倒だ。
「待って、玉藻お姉ちゃん。私が先に出て警戒するわ」
「そうじゃな、すまぬが頼む」
迷い家の入り口を出して出ようとしたら舞に止められた。万が一見られた場合、舞なら一般の探索者を装う事で誤魔化す事が出来る。
「玉藻お姉さんは唯一だし、私も銀髪だから普通の探索者と言えないものね」
「アーシャも妾も、外見に特徴があり過ぎるからのぅ」
先行した舞から大丈夫との知らせを受けて俺とアーシャも迷い家から出る。念の為迷い家の入り口は出したままでアーシャに付近のサーチをお願いした。
「検索条件を人間で見てみたけど、この階層には私達以外見当たらないわ。お姉さんが言っていたパーティーは撤退したみたい」
「流石はアーシャじゃな。アーシャには助けてもらってばかりじゃ」
今はこの階層に俺達以外居ない事が確定した。彼らが戻って来る恐れもあるので、今のうちに抜けてしまおう。
「玉藻お姉ちゃん、十九階層への渦の場所は分かっているのよね?」
「うむ、前回妾が作成したマップがあるでな」
迷い家の入り口を消して渦に向かう。行く先には例のパーティーを退けたスタンスラッグが待ち受けていた。
「こいつ、倒さずに行く方が良いわよね」
「そうじゃな、彼らがまた来るやもしれぬ。その際こやつがおらなんだら誰かが倒したと悟られるじゃろうからな」
今回は神炎さんの出番は無しという事に決定した。次回、神炎さんの大活躍にご期待下さい。と言いたい所だけど、暫く神炎さんの出番は無さそうだ。
「あっ、あれね。動きが遅いわね。慣性の向きを横にして、千倍に増幅して・・・千倍でもこんなに遅いの?!」
俺達を認識したスタンスラッグは攻撃せんと移動を開始した。舞はそのベクトルを壁に向けた上で速度を千倍に増幅したのだが、その速さは自転車程度に見える。
「ともあれ、これなら壁際を抜けられそうじゃ」
スタンスラッグを寄せたのと逆の壁際を通り先に進む。その後も倒す事なく舞のスキルで横を素通りし十九階層への渦に辿り着いた。
「無事着いたのは二人のお陰じゃな。次の階層は夫婦鶏じゃ。妾のみで駆け抜ける故、迷い家で待ってたもれ」
「一緒に行きたいけど、玉藻お姉さん一人の方が速いわよね」
アーシャと舞が同行出来るのは春休みの間だけという時間制限がある以上、少しでも早く先に進みたい。なので二人には迷い家で待機してもらう事にした。
二十階層への渦の場所も判明しているし、鶏肉集めもしないので然程時間をかけずに二十階層に到着した。遺跡は前と変わらず沈黙を保っている。
「これが異世界の遺跡なのね」
「ここから渦を探すのって、アーシャちゃんのスキル無しではどれだけかかるのかしら」
壮大な遺跡に感激するアーシャに、その広さに呆れる舞。ホント、自分の目だけで探したら、二十一階層に着けるのはいつになるだろうね。
作者「さっき気がついた。スタンスラッグは十七階層じゃなく十八階層だよなぁ」
玉藻「作者よ、とうとうボケたようじゃな」
という訳で遡って修正致します。




