第八百七十五話
大宮ダンジョン攻略二日目。各階層のモンスターを一匹づつ狩りつつ階層を進んで行く。完全に無視できる階層でも一匹倒しているのは、最後の試練対策だ。
初日にそれを忘れて突き進んでしまったが、浅い階層のモンスターならば試練で出てきても問題なく倒せるだろう。
万全を期すならば戻って倒してくるべきなのだが、十二階層から五階層や六階層に戻るのは結構面倒だ。何より、また七階層を通りたくない。
ゴブリンは倒すのは簡単だが臭いがキツイ。そして血走った目で襲ってくるのが生理的に受け付けない。七階層以降まで潜る女性探索者が少ないのも仕方ないと思ってしまう。
途中昼休憩を挟んで十七階層に到達。このダンジョンで地図があるのはここまでだ。十八階層は踏破されていない為、十九階層への渦を探す必要がある。
「昔はこうやって地図を自作したのぅ」
時折這っているスタンスラッグを神炎さんで燃やしながら、バインダーに挟んだ方眼紙に通路を書き込む。
大宮の十九階層は迷宮フィールドになっていた。その為出現するスタンスラッグを無視して進む事が出来ず、倒して進まなければならない。
倒すのが面倒なスタンスラッグを倒しながら進まないといけないという煩わしい階層なので地図作成が進まず、攻略する物好きも居ない為ここが最高到達階層になっていた。
俺はそんな階層を神炎さんで無双しつつ進む。迷宮フィールドのマッピングは前世でやった魔物を合体させるゲームや、直訳すると深い迷宮となるディスクシステムのゲームで散々やっていた。
面倒ではあるが、ある意味やり慣れた作業と言う事も出来る。出現するモンスターがスタンスラッグというのも俺には楽だった。
足が遅い為奇襲を受けないので、索敵に気を張らなくて済む。曲がり角で出合い頭に遭遇したとしても十分に対処出来る。なのでマッピングにリソースを割いても問題ない。
十九階層への渦を発見したのは夕方近くになった頃だった。普通ならここで野営して翌朝に十九階層に降りるという判断をするのだが、俺はそのまま十九階層に突入した。
理由は三つある。一つ目は出現するモンスターを確認する為だ。無いとは思うがレアモンスターかどうかだけでも確認したかった。もしレアモンスターならば、先に知る事で対策を一晩考える余裕が出来る。
二つ目は鶏肉の確保だ。通常通りならば、出現するのは夫婦鶏。少し狩って鶏肉を補充しておきたい。美味しい鶏肉は、なんぼあっても困る事は無いのだ。
そして最後の理由は鬱憤晴らしだ。前世のゲームで慣れているとはいえ、チマチマとマッピングしながら進むのはストレスが溜まる。なので盛大に暴れてストレス解消しようという目論見だ。
幸い十九階層のモンスターは通常通り夫婦鶏で、俺は結構な量の魔石とそこそこの量の鶏肉を確保する事が出来た。
そして今回新たに発見した事実が一つ。鳥さんの羽毛はニャンコやワンコのモフモフとはまた違った良さがある。
嫌がって暴れる夫婦鶏を抑えるのは少し骨が折れたけど、新たなモフモフを堪能する為には必要な代価であったと俺は思う。




