カフェについて
猫実さんの言うように、自分は修行中だと思うが、そこまで辛いことではない。忘れようのない思い出がたくさんあるし、書いていればどうしたってそれが言葉にでる。
初めから純粋に人のために何かをしたいと思っていた猫実さんとは目的が違うかも知れない。巧は今になって、お助け部のために何ができるのか、と考えられるようになった気がする。
「でも、お助けカフェのアイデアを考えたのは巧さんです。」
猫実さんが上手いこと話題を運ぶ。恐らく日菊先輩たちが聞きたいのはカフェのことだろう。
「なるほど、どうしてあのような形でしたいと思ったのですか。」
日菊先輩が、ペンを持った手で髪を耳にかける。
「前からこの部室で待っててもあまり人が来ないなって思ってて、もっと目立つと言うか、気軽に関われるようにしたいと思ったんです。」
巧は話していることが、一々書き取られていることに感慨を覚える。普段から、人に話をすることが少ない。クラスメイトとも、話さなくてはいけないときに事務的に話をするだけだ。それがいきなりインタビューであるから、新鮮で楽しいと思えてきた。
「確かに、今までずっと二人で待っててもなかなか人が来なくて…。いきなり部室に来るのは行きづらい雰囲気があったのかもしれないですね。」
猫実さんが補足する。
とはいえ、巧は今までの時間を無駄だったとは思っていない。
「ではあれは、ある意味宣伝のようなものですか?」
「まあ、確かにそうかもしれないですね。」
猫実さんはそう言うが、歯切れ悪く考え込んでいる。
「そうなんですけど、あれだけでも良いと言うか。」
「そうなんですか?」
日菊先輩は首をかしげた。確かにビラを配っている猫実さんや勝浦を見ていると何かを宣伝をしているように見えなくはない。
「巧さんもよく言うんですけど、いるだけで良いと言うのが、お助けカフェのコンセプトなんです。だから特に役立てなくても居場所を作れれば…。」
「なるほど。」
「あの哲学カフェは誰のアイデアなんだい?」
山崎会長はインタビューと言うより、純粋に興味があるようだ。会長はカフェで積極的に発言していたし、楽しかったのだろう。
「ああ、なんかお悩み相談をできたら良いですね、ってなって金子先生に話したらこういうのがあるって教えられました。」
「なるほど」
「お二人は参加してみていかがでしたか?」
猫実さんは目をキラキラさせて、二人に質問する。インタビューされている側なのにお構いなしである。




