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クリエイト!(その3)  作者: 大塚
新しい始まり
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午後の来客

 「う。」

 「大丈夫ですか?」

 猫実さんが手を止める。

 「いや、びっくりしただけです。」

 と巧がいうと、猫実さんは構わず手に力を入れた。

 ぎゅっと握られる感じが少し痛いけど、健康に良さそうだ。小さな手だが、力が強く、ツボを的確に押さえている。

 「どうですか?」

 「うーん、効いている感じかすごくします。」

 「なるほど…。」

 猫実さんは肩もみの道を追求したいのか、巧の肩の色々な部分を押したり叩いたりして、反応を確かめた。その間巧は、逐一感じたことをコメントしなくてはならなかった。

 部室にのどかな昼下がりの空気が流れ始める。巧はだんだん、まぶたが重くなっていくのを感じる。

 猫実さんのように肩をもまれながら話すのは苦手だ。いつ返事が返ってくるのか分からないので、聞き取るのが難しい。普段の会話なら、相手が何に注目しているのか、口を開くタイミングなどから、リズムを掴んで集中しやすいのだが。

 「そろそろ大丈夫です」

 と巧は言うと、

 「そうですか?」

 と猫実さんは物足りなそうに手を止めた。

 手が離された途端、感覚が戻ってくる。肩はあたたかくなって、軽い。猫実さんが言っていた「生き返ったみたい。」と言う言葉が的を射ているのがわかる。

 「すごく楽になりました。」

 巧は肩を動かして言った。

 「よかったです!」

 猫実さんはくしゃっと顔全体で笑った。

 元気になったところで、怪我した手で何をすれば良いのか。巧は、猫実さんのように姿勢良く座り、余計なエネルギーを発散しようとした。

 窓の外に見える青い空を眺めていたところ、猫実さんが何かに反応した。

 「あ、誰か。」

 立ち上がって、ドアの方を向く。巧も腰を浮かせて様子を見る。

 ドアが開くと、そこに金子先生と生徒会の二人、山崎会長と日菊先輩が立っていた。

 「こんにちは。」

 猫実さんが言うと、三人ともバラバラに、おじぎをしたり、手を振ったり、「こんにちは」と言い返したりした。突然に賑やかな空気になる。

 「生徒会の取材だって。」

 金子先生が言った。

 「なるほど、ここでしますか。」

 巧たちがいつも座っている席の前にはいつも、二つ向かい合うように椅子がある。

 「いいよ、私は案内しに来ただけだから、すぐ帰る。」

 と言いつつ、金子先生が手を振った。

 「あ、じゃあ、こちらに…。」

 猫実さんは、生徒会の二人を手で案内した。金子先生は斜め後ろに立って、腰に手を当てる。目を細めて何かを探るように、四人の座った姿を見る。

 「この様子、写真に撮れば。」

 「いいですね」

 金子先生の提案に、日菊先輩は首からカメラを下ろす。先生はカメラを手渡されると、ファインダーをのぞいて様子を見た。

 いきなりカメラを向けられて、身構える巧に、猫実さんが、

 「別に、カメラを見ていなくてもいいんですよー。」とさりげなく教えてくれた。

 「そうそう、普通に話してればいいの。」

 と金子先生が笑う。

 巧はカメラがあるのに、それを見ないようにする方が不自然だと思ったが、何とか前を向く。

 猫実さんの正面に山崎会長、巧の前には日菊先輩が座っている。向かい合うと緊張するが、職員会議に乗り込んだ時よりかはマシか、と思い出して、呑み込む。お助け部に入ってから、ストレス耐性が付いた巧であった。

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