カフェ開催!
「で、どうだった?」
次の休み時間に勝浦は、巧のせきにやってきた。
「夜桜先輩は、来られないらしいけど、生徒会の人手伝ってくれるらしい。」
巧は座ったまま、勝浦を見上げる。猫実さんには敬語だが、勝浦にはなぜか、タメ口だ。なんとなく、敬語で話すと嫌がられそうだと思うのだ。
「そっか、まあ夜桜先輩のことだしな。」
勝浦はあごに手をあって、上を見た。勝浦の考える仕草も、なかなか様になっている。熱い目でもあるが、厳しく何かを追求する目でもある。
「人が集まるところ来ないからな。」
「さすが、夜桜ファン、というかよくわかるね。」
「ふっ、当たり前だろ。」
勝浦は巧から目を逸らさないまま、軽く作ったように笑った。
巧は勝浦がどのくらい夜桜先輩のことが好きなのか気になった。自分が猫実さんを好きなようなものだろうか。人気者で、だらもが憧れるような夜桜先輩を、好きだというのは人によって、その「好き」の程度が違う気がする。
「夜桜ファン」という団体でひとまとまりにしてしまうと、真剣な一人の思いがイメージできない。しかし、熱い勝浦を見るとそう軽い気持ちではないだろうと想像できた。
昼休み、山崎会長は生徒会の腕章をつけて、お助けカフェに見学に来てくれた。同じ腕章をつけた女子も居た。ぴったりと切りそろえられた黒一色のショートカットが、目を引く。じっと観察するように、職員室前に並べられた机と椅子を見ている。
「こんにちは」
巧が声をかけると、二人も「こんにちは」と返してくれた。
「えーと、お助け部の…。」
山崎会長が言い淀む。
「浅野巧です。」
巧は控えめに自分の名前を呼ぶ。
「そうだ、浅野くんだ。」
会長は申し訳なさそうに、眉をひそめる。
巧は気にしてないというふうに、首を振る。猫実さんの方が印象が強いのだろう。
「こっちは日菊。」
山崎会長は、隣に立っていた生徒を紹介する。
「こんにちは、日菊環です。今は生徒会の広報をしています。」
キッパリと事務的にいうと、またどことない所に視線を戻してしまった。
しばらく人が来るのを三人で待っていた。巧が話を続けられるはずもなく、猫実さんが来るまでずっと無言だった。
「あ、こんにちは、カフェ参加しますか?」
猫実さんは、二人生徒を誘ってきてくれたようだ。放送部の番さんと、メガネをかけた大人しそうな男子だ。巧達も息を合わせたように、円形にならべられた椅子に座る。
「えーとでは、お助けカフェの昼休みはこうしてみんなで輪になって、考えていることを深く話し合います。」
廊下に猫実さんの明るい声が響く。
「皆さんお弁当を食べながら、ゆっくりお話ししましょう。」
昼休みを告げる音楽と、にぎやかな声が廊下の所々から聞こえてくる。




