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クリエイト!(その3)  作者: 大塚
新しい始まり
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忘れちゃう

 「どうしたら話しやすいですか?」

 急にしゅんとする猫実さんを見て、巧は今更気がついた。猫実さんのまえでは聞こえにくい自分をあまり伝えられていない。

 巧にとって、猫実さんは話しづらいということを忘れて、関われる人だったからだ。

 「猫実さんとは、すごく話しやすいです。」

 それを言うと、巧は急に恥ずかしくなってきて、猫実さんを見られなくなった。何もないところでつまづきそうになるほど、あわふためいた。とっさに猫実さんが手をのばして、よろける巧を支えようとする。

 「すみません。」

 歩きながら、しかも街中でゆっくり話すのは苦手だ。

 「なんて言えばいいのかわからないんですけど。」

 「うん。」

 「猫実さんといるときは、自分が人と話すのが苦手だとか、聞こえにくいとかも忘れちゃうんです。」

 「忘れちゃう?」

 「うん、猫実さんは声も聞きやすいし、自分のこともわかってくれてるし、話も普通にできるから。でも他の人と話したりすると、ああまた聞こえるふりをしてしまったとか、思い出すんです。」

 「ああ、それが忘れるってこと?」

 「そう一人でいるときと…わかってくれる友達といるときだけ。」

 「そっか…。むずかしい。」

 猫実さんはうでをくんで考え込む。巧だってどう考えればよいのかわからない。

 「私は、お助け部にいる巧さんしか知らないから。なんかごめんなさい。」

 ペコっと猫実さんは首を下ろした。巧は、逆に申し訳ない気持ちに襲われる。

 「別に謝らないでいいです」

 自分でもうまく説明できないのだ。どう言う風に苦しいのか。突然に気がついたときには、一人取り残されている。会話から外れて、一人で本を開いて別の世界にいる。

 考えれば考えるほど、自分の弱さや苦しみにとらわれるみたいで、体が冷たくなる。


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