最初の一人
「えーと、さてお助けラジオなんだけど、内容どう?」
番さんがぱく、とご飯を口に運んだ。
「あ、はい。前後に区切って、前半にお助け部の紹介、後半にお悩み相談のコーナーを作りたいな、と思ってます。」
猫実さんも話しては食べる。女子の弁当箱を近くで見るのもなかなか新鮮だ。猫実さんは木でできたしっかりした弁当箱に、おにぎりとおかずが詰まっている。鮭の切り身とブロッコリー、切り干し大根のような煮物。向こうにいる番さんは、ブラスチックの二段弁当を広げて、からあげとご飯をかきこんでいる。巧といえば、母が作ってくれた海苔弁とおかずである。母は必ず、白米に何かしら乗せてくれる。のりだったり、ふりかけだったり卵だったり。
「うーん。」
番さんは、うなずきながら猫実さんの話を聞いている。
「それで、リクエストとかお悩み相談を受けたいのですけど、チラシを必要と思ってデザインしてきました。」
猫実さんは、おにぎりを持ちながら、とうとうと話す。
言いおわると、パクト、先のほうをかじる。
放送室が静かなこともあって、会話が心地よく耳に入る。巧は落ち着いて話を追いかけることができた。
「リクエストは、まず一人見つけてくることね。」
番さんは人差し指を立てた。
「まず、その一人でコーナー作って、その中で呼び掛ければ宣伝になる。」
「あ、じゃあ…。」
巧も手を挙げて発言する。声だけだと、気づいてもらえるか不安だったのだ。二人とも巧に注目した。
「チラシは配ったりする必要あまりないのかな。」
「うーん、どっかに貼っとくのはいいけど、一枚一枚配る必要ないかな。放送でこういうコーナーがあるってわかればそれが宣伝になる。」
「なるほどですね。」
猫実さんがうなずいている。巧も放送部なりのやり方を知れて、納得する。知らない人に声をかけるというつらい作業も減りそうだ。
「最初の一人、が大事ですね。」
巧もそういうが、そもそも声をかけられそうな人が思いつかない。
「何か思いあたる?」
「うーん。」
猫実さんも腕を組んで考えている。




