表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリエイト!(その3)  作者: 大塚
新しい始まり
44/118

放送部でランチタイム

次の日の昼休み。廊下からぱたぱたと猫実さんが走ってきた。そのまま、「失礼します。」と一礼して、巧の教室に入ってくる。最前列に座った巧をみつけると、目をきらんと光らせて、机にぱんと手をおいた。

 「巧さん、こんにちは。番さんが話を聞いてくれるって。」

 猫実さんの片手には、手ぬぐいで包まれた弁当があった。


 放送室。入るのは二度目だ。分厚いドアを閉じると一気に音が少なくなる。閉められた窓の向こうには、校庭が見下ろせる。昼休みはまだはじまったばかりなので、遊んでいる人はいない。

 「いいでしょ。」

 番さんは、猫実さんのクラスメートらしい。背が高く、ひょろっとした、おかっぱ頭の女子だ。

 「先輩、お助け部つれてきました。」

 声が、響かずにさっと部屋にとけていく。部屋のすみに、眼鏡をかけた短髪の男子が座って弁当を広げていた。

 「おう、番おかえり。先食べてる。」

 巧と猫実さんも軽く頭を下げて、あいさつをする。

 「じゃあ、こっち。」

 番さんは、使われていない放送ブースを指さした。ガラス張りで、外から機材やマイクをのぞくことができた。

 ドアを開けて革張りのソファーに腰かける。巧のとなりに猫実さんが座り、対面に番さんが座る。

 「まあ、食べよっか。」

 番さんが手に持った水筒と、弁当箱を机に出す。ヘッドホンやら台本やらが置かれていたので、片付けてくれた。

 空いたスペースに、巧たちも自分の弁当を出す。

 いざ誰かと食べるとすると緊張する。

 「あれ…こうして、一緒に食べるのって珍しいですよね。」

 猫実さんが、巧の顔をのぞきこむ。巧もうなずく。土曜日は放課後に部室で食べるが、それ以外の時は別々だ。

 「えーと、巧くんだっけ。」

 「あ、はい浅野巧です。」

 「いやいや、タメ口でいいって。」

 番さんは手刀を横に切るように、手をひらひらした。

 「あたしは、番明梨。ざねっちとはクラスメート。」

 番さんが、「ざねっち」といいながら猫実さんを見たので、巧は彼女のことだとわかった。

 「猫実さんってざねっちって呼ばれてるんですね。」

 「うん。ネコっていう人もいるし、普通に猫実さんでもいいし。名前がいっぱいあるって、のら猫みたいだねって。」

 番さんは細い肩をひくひくと揺らして笑った。

 「私はどう呼ばれてもいいですよ。」

 猫実さんは、ぴんと指で自分をさす。

 「じゃあ、猫実さん…で。」

 「はい。」

 巧はやっぱりいろいろな人に好かれているなあ、としょんぼりする。明るいし、頼もしいし、想像できたけど、自分だけが特別でいられるかどうか、不安になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ