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クリエイト!(その3)  作者: 大塚
新しい始まり
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言いたかったこと

 昼休みになった。巧はまたふり返って勝浦の様子を見る。何やら教科書をしまうと、急いで立ち上がって、どこかへ行こうとしている。巧は今度こそ思いきって彼を追いかけようとした。

 「勝浦。」

 こうやって誰かを呼び止めるなんて、いつ以来だろう。遠慮してしまって、うまく声がでない。どのぐらいの大きさで、声を出せばいいのか。ずっと黙って過ごしてきたから、忘れてしまった。


 勝浦は廊下を一直線に進んでゆく。そして階段をのぼりはじめた。二階にさしかかると、二年生の先輩らしき男子生徒が勝浦に声をかけた。二人は威勢よく声をかけあい、さらに上の階に向かってゆく。巧は声をかけるタイミングをつかみそこねた。


 それでも、引き返すのも気まずく、彼らの行く先を追っていった。絶えず階段を上ってゆく。気がつけば屋上に向かう暗い階段にさしかかっていた。人気がなくなり、前の二人が巧の足音にふり返った。

 巧は胸が痛くなる思いで、二人の目線を受け止めた。今更、どうしてついてきてしまったんだろうと思う。

 「すいません。」

 消え入りそうな声で巧は言った。

 「浅野、どうした?」

 「勝、知り合いか?」

 二年生の先輩は巧を見て確認した。

 「クラスメイトの浅野君っす。」

 「はじめまして、浅野巧です。」

 巧は階段の下から自己紹介をした。すると先輩は何かを言った。うまくききとれなかった。さりげなく階段をあがり、二人に近づく。

 「すみません、今何て?」

 「…ああ、君も新入りか?」

 勝浦と先輩がこちらを見る。

 「新入り…って。」

 想定外の単語だった。

 「俺たちは、夜桜親衛隊の幹部だ。親衛隊に入りたくて来たんじゃないのか?」

 「ち、ちがいます」

 巧は変なところまでついてきてしまったと、後悔した。

 先輩は少し眉をしかめて、

 「なら、何の用だ?」

 と巧を見る。

 「あの、勝浦に言いたいことがあって。」

 「ん、オレか?」

 勝浦はあごの下に指をさして、意外そうに言った。ずっと探して追いかけていたのに本人の方は、全く気がつかなかったらしい。

 巧がうなずくと

 「何、どうした?」

 と真剣な顔をした。

 「あ…。昨日勝浦の夜桜ファンの小説読んだけど、面白かったよ。」

 「お、おうありがとな。」

 勝浦は戸惑いつつも、パッと明るくなって巧の肩をたたいた。巧はやっと言えてすこしほっとする。

 「他のも読んだか?」

 「いや勝浦のだけ。」

 「そっか、他の先輩達のも読んでみてくれや。いい文章だから。」

 「うん。」

 

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