すみませんでしたァ
「あいや、オレは浅野をここまで送っただけで…。
お助け部の人ですか?」
「はい、猫実未来といいます。」
猫実さんは軽くおじぎをした。ポニーテールが揺れる。この動作をよく目にするので、巧も彼女の真似をして、おじぎをするようになってしまった。
「巧さんの友達ですか?」
「ん…友…?」
「そうです、同じクラスだし。」
勝浦は迷いなくそう言い切った。
「いろいろあって、一緒にここまで送ってきたんだ。」
「そうなんですね。」
「お助け部って、何をする部活なんですか。」
勝浦はがらんとした室内を見回した。
「いろいろな人のお手伝いをしたり、相談に乗ったりしています。あんまり人は来ないですけど。自分たちでする事はたくさんあるので、それをしたりして待っています。いつでも気軽にきていいですよ。」
猫実さんは立て板に水を流したように話す。勝浦も感心して、口をぽかりとあけている。
「部員は…」
「今のところ、巧さんとわたし、二人だけです。」
猫実さんは手のひらを巧に向けて、それから自分の胸にあてた。
勝浦は、さらに口をぽかんとあけて、二人を見た。しばらくして我に返ると、またがばり、と直角になって、
「すみませんでしたァ」
とさけんだ。
「えっ、ちょっとちょっと」
猫実さんは勝浦の突然の行動にあわふためいた。小さい手のひらを勝浦の頭の下であおぐようにひらひらさせる。手のひらの風で起き上がらせようとしているのだろうか。
巧の方にも助けを求めてくるが、何をすればいいのかわからない。
「頭をあげてくださーい。」
猫実さんはしゃがみこんで勝浦に見えるように手をひらひらさせた。
やっと気がついて勝浦はすっと戻った。猫実さんも背筋をのばしたまま、ふう、と息を吐いて立ち上がった。
「オレは、大事なお助け部の…たった二人しかいない部員を奪おうとしてしまった。」
勝浦は泣き出さんばかりに歯をくいしばる。
「ちょっ、ちょっ…泣かないで。巧さんどういうこと?」
勝浦の肩を、必死にさすりながら猫実さんが巧を見る。ねこざねさんをうろたえさせるほどの熱さだった。




