オタスケ部?
巧は無理に連れてこられたことで、心の壁を作ってしまっていた。しかし、勝は怖がらせるために、ここに連れてきたのではないだろう。本意を伝える暇がなかっただけだ。目の前にある勝浦の真剣な目に見て巧は、落ち着きを取り戻した。
「申し訳ないですけど、文学部に入部することはできません。他の部活があるので。」
「えっ、浅野って帰宅部じゃなかったのか?」
勝浦が眉をひそめて、疑い見る。たしかにホームルームの後、誰とも目をあわせずに、一目散に教室を出る巧はそう見えるのだろう。
「お助け部です。」
と巧は言った。言った瞬間に、目の前の三人がぽかんとして言葉を失った。巧は同時にぽかんとさせた人数の最多記録を更新した。
「おたすけ部…?」
村田先輩が、頭の上にクエスチョンマークを作る。
「あ、わかった。」
リッカーが、パチンと手を叩いた。
「おたくと、スケ番が集まる部だ。」
「ち、違います。」
巧は急いで軌道修正する。
「んな訳ないでしょ。」
村田先輩もリッカーの独特な想像を打ち消す。
「なんかボランティアとか人助けをしてるってこと?」
「はい。」
巧はかみきれない感じで応えた。
「もし、書く人だったらウェルカムだけど、兼部はできないしね。」
村田先輩は、とん、とひじを机にかけてほおずえをついた。目の前にいる三人は、どこか普通の高校生で、むしろ親しげがあった。小説を書いている、と言われなければわからない。巧は、書く人、をあまり見たことがなかった。知っていたとしても、それが夜桜先輩という常人離れした人だったから、参考にならなかった。
「…っでなんでオレを見る。」
勝浦がリッカーにじっと見られていることに気がつく。ハエを追い払うように視線を振り払おうとする。
「いや、勝のせいで浅野君に迷惑かけたじゃん。」
リッカーは机に突っ伏して、違う角度から勝を見る。勝は鬱陶しそうにそっぽを向く。
「お前、オレは文学部のことを思って。」
「わかるけど…。無理矢理連れて来られたの?」
村田先輩が申し訳なさそうに、巧を見る。
「うん、まあ…」
と巧がうなずくと、先輩はため息をついた。




