切なさは、人それぞれだけど
高瀬の住む住宅街は
いわゆる、昔からあるベッドタウンで
古い家屋もある。
森田が
「空き家もそこそこあるよなぁ」
俺は、頷きながら
「空き家安く買い取ってフルリノベーションって言ってもなぁ、物価高くなる一方だからなぁ」
ゲンサンが
「空き家と、老人の一人暮らしは
問題になっちまうからなぁ。
老人の孤独死は、他人事じゃなくての、ほら、あの角の家。あそこも近々見てやらんと…。」
切ない話だ。昔より『ご近所』との
繋がりも薄い。いわゆる、働き盛りの年代は、
共働きも多く、昼間出払っている家庭が多い。
ん?今って空き家問題の調査じゃねえよな、
と俺は気付いた。
「ゲンサンさ、高瀬の件とこの調査、関係あるのかよ」
とゲンサンに問いかける。
「あるんだ。あっ、ちょっとまってくれ…」
ゲンサン、どうしたんだ?
「尿もれが…ワシ、ショロ~って出ちゃった。」
とゲンサンがはにかんだ。
森田が、
「おいぃぃ!こんのくそジジイ!どうするんだよー」
と頭を抱えた。
ゲンサンが、
「ほら、あそこに銭湯あるから、いこ。」
と、指を指した。
『憩いの湯』と書かれた看板。
昭和の雰囲気そのまま。
「さっ。銭湯いこう。ワシ、股間が
気持ち悪い。話は湯に浸かりながらしよう」
急に銭湯かよ。
まぁ、仕方ない。




