位置についてー!
「ただいまぁー!」
森田がゲンサン宅に入ってきた
ゲンサンも「てっちゃんお帰り~
ご飯あるでのー、手洗っといでー」
「ゲンサン母ちゃんかよ!あー、大志メシ作ったんだ?」
森田の言葉にゲンサンも
「大志も母ちゃんみたいでの」
と微笑む。
ご飯の炊ける音と、味噌汁のいい匂いの
向こうで、大志が
「おう!お疲れ!節約に自炊だよ!
直人もメシに釣られて後で来るってよ!」
あれから、本格的に起業に向けて動きだした
俺達。
森田が白紙の紙とペンをゲンサンに渡しながら
「あー、ゲンサンさ、メシの前に、フルネーム書いてくんない?」
「いいけど、どうしてだい?」
不思議そうなゲンサンだったが
「いいから。」と強めの圧で森田が返した。
棚の引き出しから、小さく切り分けた
カレンダーの手作りメモの束を出したゲンサンに、
「うわ!それ懐かしいな~俺のバーちゃんやってたわぁー!!」
と大志が微笑む。
森田が
「くれぐれも、源次郎だけじゃなくて
フルネームで書いてくれよな!!」
と念を押す。
若干…はて?となりながら
サラサラと記入した。
「ほい。書いたでの。」
意味不明なのに、素直にフルネームを記入したゲンサンに大志は、
詐欺にあいませんように、なんて祈った。
ゲンサンが森田に紙をわたす。
見つめる森田。
が。
「はぁぁぁぁぁぁ?」森田が絶叫する。
大志が、どれどれ~なんて身を乗り出して
ゲンサンが書いた紙を見る。
「あー!なんだこれマジで?本当に?」
と言いながら爆笑する。
ゲンサンが、「本名。」と言いながら
棚に置きっぱなしの
役所から届いたハガキを見せた。
紙に【森田 源次郎】
ハガキに【森田 源次郎様】
確かに森田さんだ。
「まさか、森田…」
口元に手をあてて、大志が言ってきた。
森田が慌てて
「他人だからな!てか何でよりによって
同じ森田なんだよ!」と笑った。
ゲンサンは、何故か照れていた。
落ち着いた森田が
「まぁ、いいわ、これでゲンサンの名前を入れるから」
「ワシの名前を?何に?」
「探偵事務所の顧問。相談役。なぁ、
これで、天使のお仕事もやり易くなるだろ。」
森田は、淡々とゲンサンに話す。
「んん?ワシが?」
「強制だかんな! けど。嫌なら嫌って言えよ!
どうよ、ゲンサン」
ゲンサンは少し考えて
「やる…。でもワシ…」
森田が上機嫌で
「やるよな!じゃ、決まり!!て事で
この話終わり!メシ食うぞ!」
普通なら、断る話だろうが
ゲンサンは、森田に対する信用が厚い。
天使だから、森田の人柄がわかるから?
もちろんそれもある。
でも、今はゲンサンの長年の人生の経験だ。
万が一の事が起きても大丈夫。
ゲンサンの気持ちは皆と一緒だ。
そして、何より皆と挑戦したかった。
こうしてAFTERGLOWと、ゲンサン加入で
起業の為の人員は揃った。
「事業所?っての?…会社の名前はどうする?」
大志の目が、輝く。
ゲンサンは、また何かを言おうと
「あの、ワシなぁ」
と身を乗り出そうとしたが、
ガチャン!バタバター
「ふぅ。ただいまぁー!!おっ!大志
ご飯できてる??」
直人がネクタイを緩めながら入ってきた。
「おう!出来てる!皆で運びやがれ!!」
大志がお玉を持って張り切っていた。
「ちょうど、探偵事務所の名前
考えようぜって話してたんだよ!!」
森田がご飯を運びながら言う。
「あっ、俺ゲンサンにのど飴買ってきたんだ」
直人が上着のポケットから出して
「ありがとう」と言いながらゲンサンは
受け取った。
源次郎は、この時
まだ皆に話していないことがあった。
「ほら!ゲンサン!座って!」
森田が促す。
味噌汁のいい香り。
まぁ、そのうち話そうかの。
ゲンサンは元気に
「いただきます」
と手をあわせた




