事業計画書で、最後の疑問
「概要だからな!」と森田が見せたのは
『探偵事務所設立にあたっての事業計画書』
代表予定者:森田哲哉
「おれ、今日から森田の事を、代表って
呼ぶわー」大志がイタズラっ子の顔をする
「コラ大志!ちゃんと真面目にみろよな」
そう言った森田も笑ってる。
直人も身を乗り出す。
「どれどれ…、おっ真面目に書類作ってるじゃん!」
「おうよ、任せろ!」
改めて事業計画書を見ると
1.事業目的
個人および法人からの依頼を受け、調査業務を行う。
主な業務は以下の通り。
・所在調査
・身辺調査
・素行調査
・行方調査
・その他、依頼内容に応じた調査
調査対象者のプライバシーを尊重し、法令を遵守する。
「探偵業ってざっくりこんな感じかな。」
「これ見たら始まる感じするなぁ。」
「探偵業って申請する時の窓口も特殊な部分あるから、直人、俺としばらく行動してくれよ」
「わかってるよ!森田代表!!」
直人も快く受け入れた。
ゲンサンがポツリと
「ワシ老眼鏡ないと、文字が霞んでみえないなぁ。はて。この辺においてたのに…」
と、キョロキョロしている。
「もしかして、ゲンサンって今老眼鏡を
探してる??」
「うん。探してる。てっちゃん、後ろの棚にないかの??」
「ところで、今ゲンサンが持ってるのは?」
ゲンサンが自分の手を見て
「ワシもってる男だからの」
と照れていた。
森田がぶっと吹き出す
「持ってんな!!老眼鏡!!」
「たぶん、あるあるだわそれー。」
「まぁ、これでゲンサンも無事に見えるな!
続き、見てよ。」
改めて皆が書面を見る。
2.事業形態
少人数での小規模事務所として開始する。
開業当初から大きな事務所を構えるのではなく、必要最低限の設備でスタートし、依頼件数と収入の増加に応じて事業を拡大する。
3.人員
森田哲哉 代表・調査業務・営業・事務
板倉大志 調査業務・顧客対応
柴崎直人 法律関係の相談・契約関係の確認等
高瀬透 現職を継続。必要に応じて協力
「うわ!俺の名前ある!!やべぇ!嬉しい!
だけど、いいのか?俺何もできないぞ?」
高瀬が森田に言うと、
「いいんだよ!今はな!!軌道にのったらまたその時誘うからさ。その時改めて考えてくれたら
それでいい。透は家庭守る事が最優先なんだか
らさ!!」
森田の言葉に全員うなずく。
そして、指を指しながら
「ホラ。次の項目。見てみろよ」
※全員が同時に現在の仕事を辞めることはしない。
「だよな。まず生活しなきゃいけないもんなぁ
遊びでやるわけにはいかないし…」
柴崎が、しみじみしている。
4.初期費用(概算)
事務所契約費 50万円
事務所備品 20万円
パソコン・通信費………………
……………………etc
合計 約130万円
※事務所の規模および設備により変動する。
大志がため息をつきながら、
「なんか、金額見たらひぇぇーってなるなぁ
概算だから、増える可能性もあるだろ?」
「なきにしもあらず、だな。まぁ大志、
節約頑張れ!」
「森田代表…もな!!」
5.月間経費(概算)
事務所賃料 10万円
通信費 3…………………………
………………………etc
月間固定・必要経費 約23万円
柴崎がまじまじと書面を見る。
「数字並ぶと、緊張する額だな。哲哉よく
見積り出したな!」
「だから、概算だからな。まぁ、俺
デキる男だよ?」なんて森田が言うから、
大志が森田をヘッドロックしながら
「こんにゃろ!こんにゃろ!俺もデキる男だぁぁあ!!」
「ヤメロぉー!!大志こんにゃろー!!」
と大志の腕をポカポカして
じゃれていた。
6.収入について
調査内容、調査時間、必要経費等に応じて依頼ごとに料金を設定する。
開業直後は依頼件数が安定しないことを想定し、現在の仕事を継続しながら事業を開始する。
「うん。やっぱり暮らしの安心は必要だよなぁ。」大志がうんうん頷く。
「大志、独身なのに?」と、高瀬。
今度は高瀬をこんにゃろーとヘッドロックした大志が
「だからだよ!!35才独身はなぁ、家庭ないかわりに、見栄張りたい笑」
「俺まで技かけんなよ!!子供か!!」
と高瀬が笑う。
事業収入が一定額を超え、継続的な依頼が見込める段階で専業化を検討する。
7.必要資金
開業資金として約130万円。
これとは別に、事業が軌道に乗るまでの運転資金として、最低でも6か月分の経費を確保する。
月23万円 × 6か月 = 138万円
したがって、開業時に必要となる資金は、
約270万円を目安とする。
8.今後の方針
まずは依頼を受け、実績を積み、信頼を得ることを優先する。
依頼件数が安定した段階で、事務所の拡大および専業化を検討する。
「専業目指す。今は実感ないけど
頼むよ!!で、次の項目に盛り込んだのが…」
森田が、書面をトントンしながら、
9.リスク
「ひゃー、まぁ、これがキモと言えばキモだよな…」直人が頭を掻いた。
・開業直後は依頼が入らない可能性がある
・調査に必要な経費が想定を超える可能性がある
・現在の仕事との両立が困難になる可能性がある
・収入が安定するまで時間がかかる可能性がある
以上を踏まえ、十分な貯蓄を確保した上で事業を開始する。
「貯めます。はい…」大志は、項垂れている
だけど、ついこの前までバンドすら
難しかったのに、今こうして皆集まってるんだからと、思い直し、
「よし!やるか!!」と拳を握った。
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森田哲哉 記
「まぁ、こんな感じ?でさぁ、俺ゲンサンの名前入れたかったけど、気づいた。ゲンサンのフルネーム知らねぇって。」
森田のひと言で、皆顔を見合わせた。
「んっ?そーいや、ゲンサン自己紹介の時って」
「それな。天使の源次郎ですって
なあ、ゲンサン!!」
ゲンサンは、「へへ。まぁ深い意味はないでの」
「深い意味あったら、困るわ!!」
森田がつっこむ。
大志が吹き出す
「俺達も、ふつーに気にしてなかったわ!!」
「ああ、玲二だけどさ。俺からざっとだけど話してある。引っ越し先も決まったから
落ち着くまで、待ってくれよな。」
森田の言葉に
「書面、玲二の名前ないから聞こうとしてたわ」
直人も気にかけている
「ああ、そこは大丈夫。玲二が
色々ちゃんと決まったら
自分からいくから。待っててって。」
「待ってるさ!!やるやらない関係なく
顔見せてくれるだけでも、俺達は、嬉しいよな!」
「ライブには参加するし。もう玲二は心配ないな!!」
大志の言葉に源次郎は、玲二を思い
心底ほっとした。
玲二さんは大丈夫だの。だけど近いうちに
玲二さんのお母さんを何とかしないことには…
源次郎は、皆とは別の事を考え始めていた。




