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レクイエムはまだ捧げない  作者: コラソン


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鳴く


「…に、しても玲二すばしこいな」

と森田が言った途端玲二が

殴ろうと、拳を出してきた。

慌てて森田は、玲二の手を払いのけた。


「哲也!玲二の手は攻撃すんなよ!

ウチの大事なキーボードだ!」


森田は「しゃーねーなぁ」とこぼす。


後ろでは、御堂が「ぐぶぅぅ」と唸る。


ゲンサンは、何とか御堂を気絶させた。


エンジェルソードの剣先を、御堂の胸に当てる。

「“O wicked demon, depart from this place at once!”」と、ゲンサンが静かに口にする

エンジェルソードが優しく金色に光った。

続けて

「ヴィス・サナンディ。」


エンジェルソードを、グッと御堂の胸に深くさしこんだ。


パァンと音が鳴り、御堂の姿が消えた。


「やった!御堂が消えた!」森田が喜んだ隙に、

玲二のフックが入る。


「いっっってえー」

森田がうずくまる。


「哲也ー!!」大志が叫ぶと同時にふっとばされる。玲二が体当たりしてきたせいだ。


「ぐっ…」

立ち上がりたくても、もう、キツイ。


みぃも玲二の足に噛みつくが

振り飛ばされた。


「俺は、玲二と帰りたいんだよ…」

大志の想いが口にでる。


「お待たせー!!大志!がんばれ 立て!」

柴崎が駆けてきた。


「おっっせぇーよ直人ぉ。」


「おう!ごめんて。でも最強の武器持ってきた。」


高瀬は

「体力はあるから。」と玲二に

応戦した。


余談だが、高瀬は元チビッ子力士だ。

負けん気は、ある。

と言っても小学校高学年から、身長が伸びて

スラリとした。



「鳴らせ。大志。」そう言って柴崎は

目の前にぐいっと、あるものを渡して


「とにかく俺と高瀬に任せろよ。

あの歌を玲二にぶつけてやれ。」


柴崎から受け取ったのは、

父親から譲り受けた、古いGibson ES-339のセミアコ。大志の宝物。


ふらつきながら、大志は立ち上がった。


このセミアコは、俺の武器だ。



大志はギターを鳴らした。

若い頃、玲二が絶賛した、

ロックバラードだった。


「By Your Side — タイトルいいな」

玲二の言葉だ。


玲二はこの歌を何度も聴いていた。


柴崎に飛びかかろうとする

玲二の動きが止まる。


ギュイィィー!!

山に大志のストロークが響き渡る



玲二がハッとして大志を見ている。


「帰ってこい!玲二!」

森田が叫ぶ。


「山で、ギターかき鳴らすって

俺もベース鳴らしたいかも!!玲二ー、

思い出せ!!ほら!」

高瀬が叫ぶ。


大志はコードをおさえながら

祈る。


「玲二ー、おまえさんざん暴れやがって!

お詫びのシェイク、奢れよ!」

柴崎も叫ぶ。


もうすぐで曲が終わるぞ、玲二。


曲終わりのアルペジオが静かに

流れる。


玲二の目の色が、真っ黒から

赤へ。赤から、玲二の本来の目の色が戻る。


フッと、玲二は気絶して地面に倒れた。


ゲンサンが、静かに気絶している玲二の

元に駆け寄る。

天使の羽根が光をまとって

大きく開いた。


ゲンサンは

胸にエンジェルソードの剣先を

当てながら、


「“My precious friend, reclaim your love and hope. Your home is here.”」


「玲二さん。皆でかえりますでの。」


ゲンサンの目が金色に光り

「“O soul, return!”」

静かに唱えた。


玲二に充てたエンジェルソードが

光を放つ。


ソードは胸に刺さっていない。


玲二の胸、心臓の辺りから

黒い液体のような物が真っ直ぐ上空へ

向かって吹き出した。


よし、大丈夫だ。絶対に。


早くおきろ!玲二!

早く!

大志の鼓動が高鳴る。



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