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レクイエムはまだ捧げない  作者: コラソン


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出口の無い檻


高校2年生、最大のイベントが

修学旅行。


「準備するもの位、自分で買いに行きます。」

玲二は母親に言って、大志達と

出掛けた。


あの単身赴任中の父に連絡した時、結局

父は、忙しいと言ってこっちに来なかった。


息子が助けて欲しいと言っても。

父は母から逃げる。

たが、わかる。父も

あの母親に会いたくないだけ。


離婚しないのは、母親が、

自殺をほのめかすからだった。


母親は

どこまで性根が腐っているのか。



玲二が、クソババアと突き飛ばしたあと


母親はしばらく悲壮感たっぷりで

いつまでも、悲劇の母親を装った。


玲二はあきれていた。

まともに相手もしたくない。


この頃から、玲二は母親と会話をする時

に敬語を使うようになった。

そうする事で、唯一母親と距離を開ける

理由になっていた。


修学旅行楽しかったな。

哲哉が、夜中こっそり抜けよう!!

なんて言い出したり、

自由行動の時なんて、ずっと笑ってた。


このまま、家に帰らないで

いられたら。


でも、月日が経つのは早い。


高校3年生、進路がある。

玲二は、わざわざ自宅から

距離のある大学を選んだ。


一人暮らしをするためだ。

飛行機などを使わないといけないほど

遠くの大学へ希望しても

母親がついてきそうだった。


選んだ大学へ進学するために、

ランクも、上げた。


無事に一人暮らしをスタートしたけれど


一人暮らしの部屋の合鍵を母親が

勝手に作っていた。


それが発覚したのは


彼女が玲二の帰りを部屋で

待っているときだった。

母親がいきなりズカズカ

入ってきて、彼女の腕を無言でつかみ、

部屋から追い出した。


彼女は、靴も履かせてもらえず、

閉められたドアの前で、靴が無いと帰れないと

訴えた。


トイレの小窓から母親が乱暴に靴を投げて寄越した。


「こんな惨めな話ある?」

彼女にそう言われ、泣かれた。しばらくたっても

仲直りできず、別れた。


玲二はますます

母親に対する憎悪が生まれていった。


幼い頃から母親が自分から奪ったもの。


友達。彼女。自由な時間。

玲二の気持ち。


あのババアは俺を取り巻く時間も

人も全部奪っていく。


母親に対する黒い感情が

大きな影になっていく。


大学を卒業後、それなりの会社へ勤め、

時々、ライブハウスに行った。


キーボードのサポートメンバーとして。

時々、大志達と連絡を取っていたけれど

お互い忙しかったから

以前より会えなくなっていた。


社会人になっても、頻繁に母親から

メッセージがくる。


お見合いをしろと、しつこい母親に

反吐が出る。


恋愛に口を出してくるくせに、

今度は、結婚して孫の顔を見せろだと?


そのせいか、

玲二の住む部屋に、母親がしょっちゅう

来るようになった。


帰る場所も塞がれた。そんな気持ち。

まるで、檻の中にいるみたいな人生だ。


自分の部屋も落ち着かない。


やけ酒を飲みに外へいく。


携帯のメモリーの大志の番号。

通話は…できなかった。


きっと連絡したら、大志は快く

受け入れてくれる。


だけど、フラフラと歩いた。

勝手に体が動いているような、不思議な感覚


いつの間にかたどり着いた

古びたBARの扉の前に玲二はいた。


扉を開けて中に入る。


重いジャズが流れるカウンターだけの薄暗い

店。


カウンターには、

ギスギスした雰囲気のマスターが

1人、立っていた。


「なんでもいいから、強めのカクテルを。」

玲二はそう言って、座った。


このマスターが

悪魔の使いだと知らずに。








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