ささやかな幸せ
大志がピアノ習ってるか聞いてきたから
「もうやめたけど、習ってたよ。」
玲二がそう言うと、
「マジ? だから手指長いんだな!!
スッゲー!! コンクールとか、経験あったり?」
大志はワクワクしながら聞く。
「俺デキルから、優勝当たり前だった」
玲二はわざとふふんと気取って言ってみた。
大志爆笑
「自分でデキルとか!マジでうけるわ!」
とひとしきり笑った後、
大志が
「玲二! 友達になってよ! うーん。
もう友達にするから宜しくな!!」
と玲二に言った。
そこから仲良くなるのは早かった。
ただ、唯一玲二には
母親の過干渉が付きまとっていた。
ある日、「なー、帰りマックいかね?
他クラの友達があと2人くるから。」
と大志に誘われた。
断る理由をごまかしたくなかった
玲二は
「恥ずかしい話だけど、うちの母親が
うるさくて。過干渉凄いんだ。
だから行けないんだよ。勉強しろってさ?」
大志は少し考えた。
そして、
「勉強? なら、親に図書館いくって言えば?
で、ちょっと俺達図書館よって
画像とって、ソレ、玲二のカーチャンに
送ろーぜ!!…ふっ、おれ、かしこいな」
玲二の放課後の時間は、この日から
宝物になった。
その日、2人は
本当に図書館へ行き、
大志が、
「インカメで撮るからなぁ
でも、ガリ勉の演出はしよう!」
と玲二の参考書やら、ノートを
卓上に広げ、
「玲二!もっとキメ顔して!あっ、そうそれ!
今だ、撮ってー!!」
と、大志が張り切る。
近くの女性に
「うるさいわね!静かにしなさい!」
と大志と玲二は怒られた。
大志が玲二と目を合わせ、お互い
いたずらっぽい顔で
プッと、笑う。
「ごめんなさい! 今俺達帰ります!」
と、婦人に謝ってから
外に出て、爆笑しながら
マックへ向かった。
マックではすでに
森田哲哉と柴崎直人が待っていた。
「おせーんだよ! 遅刻のバツとして、
おれ、シェイク。」と森田。
「俺もシェイクな!」と柴崎。
大志がしぶしぶ、
「なぁ、玲二、シェイク代半分ずつ出そうぜ。」といいながら、
オーダーしにカウンターへ向かった。
こんな楽しいなら
バツ受けても悪くないな。玲二はそう思った。
1人で塾の帰りに食べたマック。
それで良いと思っていたけれど。
「次は俺と玲二で先に来て、リベンジしような!!」
大志がいつもの笑顔でそう言った。
この日の、マックは過去最高においしかった。
玲二は
「マック、こんなに旨かったかな?」
なんて呟きながら、ポテトを摘まんだ。




