大志は太陽
玲二の中学3年間の思い出は、
空っぽだった。
成績優秀、スポーツ万能。
これは、塾や習い事で身に付けた。
常に母親が監視していたから。
常にストレスを抱えていた。
とうとう、玲二は公立高校入試の時に
押し殺していた感情がプツンと切れて
我慢していたことがドンとでた。
わざと、入試に落ちた。
母の気の狂いかたは、凄まじかった。
母親が玲二の襟首を掴みながら泣き叫ぶ。
玲二が着ていた服は伸びて破れた。
「面倒だから早く終わってくれ。」
玲二の感情がそれしか出なかった。
母が玲二の鎖骨を引っ掻いた。
でも痛みなんてどうでも良かった。
今でも鎖骨にうっすらと傷が残っている。
この傷痕を見ると玲二は居たたまれなくなり
引っ掻いてしまう。
中学を卒業した玲二は
私立高校へ進学した。
友達なんて作れなかった。
相変わらず、1人の休み時間を
過ごしていた。
高校生活初めての夏休み前。
クラスでは、
バイトに、海に、フェスにと
皆がはしゃいでいる。
そんな中1人ポツンと座る。
玲二は、スマホのサブスクを見ていた。
イヤフォンで音楽でも聴くか。
制服のポケットを探る。
ふと、
「玲二!! で 間違いないよな!
スッゲー綺麗な手? いや指先?
とにかく綺麗だけど、ピアノとか
習ってる??」と
話しかけられた。
玲二が顔を上げて、目の前にいる
人物を見る。
目の前にいる人は
「俺の事わかる? 俺
玲二の斜め後ろの席にいるんだよ!
板倉大志!!」
教室の日差しを背負って
ピカピカの笑顔でそう言ってきた。
入学してから数ヶ月たって
初めてだった。
ピカピカの笑顔につられて
玲二も少し笑顔になった。
そして、
「ごめん。板倉くん、だっけ?
急にどうしたの? 何か用事?」
これが
大志と玲二のファーストコンタクトだった。




