現実と、非現実
俺と森田は、空にいた。
浮いてる?飛んでる?
つい、さっき
居間でゲンサンが、上半身裸になり
「さて、出陣!!」と言って立ち上がり
「天使モードオン!!」と唱える
呪文が、ダッセェな!!とは言えない。
すぐに
背中からバサァっと羽根がでてきた。
羽根を広げたゲンサンが
「あっ。てっちゃん、みぃ抱っこして。
大志は、ワシの服持って。でオマエサン達、
羽根でくるむから2人距離縮めてな」
と言った。
てっちゃんとは、おそらく森田の
事だろう。
俺は、ゲンサンの変なボーダー柄のポロシャツを持ち
森田は、みぃを優しく抱っこして
身を寄せ合い、ゲンサンの羽根の中にくるまれた。
この羽根、ゲンサンの
「すり抜けモード オン!」で
天井を、屋根をすり抜けてフワッと
空にでた。
一般的な建物くらいなら、すり抜け可能。
呪文が本当にくそダセェ。
で、羽根の中は加齢臭が充満していた。
俺と森田は、
「年寄りのにおいってなんかわかるよな」
「独特な臭いだよな。俺もそうなるのかな」
とかコソコソ会話した。
みぃは森田の腕の中で
『さぁ、高瀬さんちまで、いくよ』
と、言った。
早くあの高瀬なのか確認したい。
家族構成を見る限り、間違いないんだが…
元々高瀬は雰囲気イケメンで影はあった
そこが魅力で、それなりにモテていた。
物静かな奴だけど、時おり見せる笑顔に
嘘はなかったんだ。
一緒に過ごした時間は、確かにあった。
バンドの練習帰りに皆でよく飯食いに行ったよな。
金がなかったから、
ライブの為の資金集めに、バイトも頑張った
そうだ、俺達、路上ライブもした。
寒くて、手がかじかんで。
高瀬が持っていたカイロを俺に貸してくれた。
この2~3年、連絡は正月のメッセージ程度で
だからといって俺達の関係は無くならない
だけど、悔やまれる。
もっと、連絡とってたらよかった?
同窓会、来なかったな、
高瀬。元気か?
俺は、焦る気持ちを堪えた。




