天使が伝えたいこと。
ゲンサンが、
「玲二さん、ワシと話をしませんか。
えー、ワシは貴方の話を聞きに来たんでの」
とはっきり言った。
「急になんです?」玲二の目が釣り上がる。
「ワシは…玲二さんに伝えなくてはならない話がある。」
「じゃあ、アンタが言いたいことを今言えば
いいんじゃないか?」
「そうしたい所なんだが、玲二さんの姿を
こうして見るかぎり、話を聞いてからで
ないと、何とも言えませんでな。」
「全く意図がわからないのに、何故?」
玲二がゲンサンを睨む。
あぁ、これは単刀直入に説明しなければならんな
とゲンサンは思った。
「玲二さん…貴方、悪魔になりかけていますな。
完全に悪魔になってしまう前に、
ワシはなんとかしたいんです。」
「ほっといてくれないか?」玲二が
ため息をつく。
ゲンサンは、あえて淡々と
「人間が悪魔になってしまうには
原因が、必ずあるんです。原因を知るためには
玲二さんが、今まで何があったのか、
知る必要があるんでの。」
玲二は立ち上がり
「俺が悪魔になろうと、アンタに関係ないだろ!もう、帰ってくれ!1人にしてくれ!」
と怒鳴った。
ゲンサンは首を横に振る。
「いやいや。ワシの親友達が、玲二さんに
AFTERGLOWの正式メンバーになってほしいんです。
ただ、このまま玲二さんが悪魔になってしまうと、人間の頃の記憶も失っていきますでの。
そんな事になれば、もう一緒にバンドも
できなくなりますな。」
玲二はイライラした。
「キーボードのプレイヤーなら
他にいるだろ?!」
と怒鳴る。
ゲンサンは、
「大志が。貴方の事をずっと待っていましてなぁ。」
「大志が?」
「大志だけじゃないですよ
てっちゃんも、透さんも、直人さんも。
玲二さんを待ってます。
大志に聞いたんですよ、探せばいくらでも
他の人がメンバーになるはずだろうって。」
玲二が
「大志はなんていったんだ?」
ゲンサンの顔に笑顔が少し戻る
「玲二以外とは無理。唯一無二だからって
そう言ったんです。単純な話での
大志は貴方のプレイヤーとしての実力を認めている、そして何より…」
「何ですか?」
玲二の顔色が少し色味が出てきた。
ゲンサンは大志の気持ちを思って
顔が優しくなる。
「大志が玲二は、大事な友達だから!!
何とか一緒にバンドできないかな?
なんて言うんですよ。
あんな笑顔見たら、ワシ何とかしたくなりましての。」
玲二は、ここで、1つ疑問が浮かんだ。
「ところで、何とかするって…
源次郎さん、アンタ一体何者なんだ?」
と聞いた。
ゲンサンは、
「だいぶ申し遅れましたな。
ワシ天使の源次郎です。玲二さんを
サポートにきました。さぁ、ワシに
話を聞かせて下さい。」
と言って頭を下げた。
玲二は、やはり混乱した。
当たり前だ。
目の前の老人が天使だと言うんだから。
ただ、大志の名前が出た。
その名前を聞くだけで、気持ちが暖かくなる。
玲二にとっても、大志は大切な親友で
AFTERGLOWのメンバーは
唯一無二であり、心の拠り所だった。
大志。俺はまだ幸せになる
道が残されているのかい?
玲二は、今ここに居るはずのない
大志に語りかけた。




