火力強めな話
ゲンサン宅に到着して
時間がだいぶ経過した…ような、
してないような。
不思議な感覚になっていた大志。
森田はみぃを膝に乗せたまま
固まっている。
ゲンサンに聞いた話。
やはり、神谷玲二の話だった。
ゲンサンは、AFTERGLOWライヴ当日、
「なんか…いるな。はて…これは…」
と、何かを感じ取っていた。
ライヴ終了後、ゲンサンは玲二と挨拶をした時に、
「あぁ、この人は、大変な事になっているかもしれない。」
と、思った。
森田が「何か見えたのか?」
と聞いていたが、大志も気持ちは同じだ。
あの後異空間で打ち上げした時に、ゲンサンは
玲二に違和感があると確信した。
「ワシの直感だと、ちょっと…手強い。」
「手強い?」
ゲンサンは、自分の頭をペンペンしながら
「まぁ、順をおって話そうか。」
ゲンサンが玲二に関して、
手から出る紙…ヘルプサインが出てこなかった。
これが引っ掛かった。
あの初対面の夜以降、ゲンサンは天使の能力で
玲二の過去から探る必要がある、と判断した。
玲二の自宅へ飛んで行き、
すり抜けモードで、眠る玲二を確認する。
多少躊躇いがあった。
だけど、この神谷玲二…急がないと
いけない。手遅れになる前に。
『夢入りモード オン』
すうっと眠る玲二の潜在意識の中へ
入る。
暗くて重い空気が漂う。
ゲンサンは、息苦しさを感じていた。
玲二を探す。
「こりゃ深いな。」ゲンサンが呟く。
潜在意識の深い場所。
玲二が、膝を抱え顔を埋めて座っている。
ゲンサンは息を呑む。
「玲二さん、あんた………」
玲二がゆっくり顔を上げた。
「あぁ、玲二さん、一体どうして…」
ゲンサンは言葉につまる。
顔を上げた玲二の目は
血の様に赤かった。
唇は紫に近い。
顔色は、青白く…
何より、背中に小さな黒い羽があった。
ゲンサンは驚愕する。
直感が今、確信に変わったのだ。
玲二はニヤニヤ不気味な笑みを浮かべながら、
「あれ?あなた、大志達の友達のおじいさんだよねぇ、どうしたんですか?」
と聞いてきたが、
ゲンサンの胸の鼓動が大きく脈を打つ。
目の前にいる
玲二の姿は、悪魔だった。
背中の羽がまだ小さいから、まだ
完全な悪魔には、なっていない。
話をしなければ。
人間は天使になれないが
悪魔にはなれる。
急がないといけない。
ゲンサンは玲二にかける言葉を探した。




