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レクイエムはまだ捧げない  作者: コラソン


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直人と源次郎


直人が、離婚して、2ヶ月と少したったころ


ゲンサン宅で

「離婚のキズが、なかなか癒えないんだよ

歌詞書いてるけど、凄い暗いんだよ。」

と直人が頭を抱えていた。


森田が、「歌詞の内容に合わせて、曲つくりたいんだろ?大志。」


「そーなんだよー、だから歌詞出来ないことには、曲無理!!」


大志は今日ゲンサン宅に

持ち込んだ、Gibson ES-335をケースから

引っ張り出す。長年の愛機だ。

傷だらけだけど、別のメーカーのギターは

落ち着かなくて無理だった。


もう1本、Gibson ES-339がある。

高校生の時、ギターがなかなか

買えなかった大志の父親から譲り受けた、

大切な思い出のギター。毎日この2本の

ギターを鳴らす。


森田が大志のギターケースをみて爆笑する。

「ケースに書いてる、大志TRUE LOVEって!!

これ笑笑ー、いつの彼女だよ!」


高瀬が笑いながら

「高校生の時のじゃね?」


あーはいはい。たぶんそうですよっ

と大志が苦笑いした。


爆笑してるなか、大人しくしていたゲンサンが

「天使モードオン!!」

と唱えて、直人に、羽根を広げながら、

「傷は癒えないけど、美緒さんの

顔をもう1度、見に行こう」


そう言って、直人を羽根で包み込んだ。

ひゅっと直人とゲンサンが消えた。


残ったメンバーが

「いってらっしゃい!」

「1発くらい殴ってこい!」

「で、戻ってきたら、飲もう」

なんて、声を聞きながら

直人は夜の空へゲンサンと飛び出した。


空を移動中、直人が

「急にどうしたんだよ!ゲンサン!」

と叫ぶ。


「無理して立ち直らなくていい。

ただ、ワシが直人さんに言いたいのは

、自分を責めないでほしい。

何も出来なかった訳じゃなかった。

ただ、これからを大切にしてほしいでの。」


夜の空に天使のゲンサンが

直人を連れて向かう場所。


それは…


「ほう、この辺まできたら…

直人さん、あともう少し、老人のお節介に

付き合ってくれ。」


老人のお節介…。まぁ、もう少し。

もう少しでわかる。

直人は、わざわざ別れた妻を見に行くのは何故か、を考えるのをやめた。


ゲンサンが、自分に求めていること。

それを聞いたから、任せる。


「すりぬけモードオン!」ゲンサンが唱えると、

ビルをすり抜けていき、

とあるマンションの上にたどり着いた。


「透視モードオン!!」


一気に直人の視界が広がる。

外灯に照らされた住宅街の歩道。


遠くから、男女が見えてきた。


あの歩き方。背格好。

美緒だ。マンションに向かって歩いている。隣には、藤堂亮。


美緒が口を大きく開けて笑っている。

楽しそうに。


あんな楽しそうな美緒、初めて見たな。

直人の胸が少しチクンとした。


だけど、幸せそうだ。美緒に、言えなくて

言いたかったことは、もう、いいんだ。


離婚して、やつれている美緒だったら

きっと、ザマミロ!くらいは思ったかもしれない。


だけど。


「ゲンサン!!ありがとう、俺は俺で幸せになるように、頑張るよ!皆のところに、帰ろう」


幸せになろうとしても、いいんだ。


これからは自分の為の人生を

謳歌しよう。


しばらくして、直人はメンバーを

ゲンサン宅に集めた。


「歌詞、出来た。」

直人はそう言って、

タブレットの画面を見せる。


さぁ、皆の反応は?


これから生まれる音楽に想いをのせていこう。


それから、ジジイの天使

源次郎に出会えた事にも、感謝しながら、

直人は皆の反応を待った。












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