美緒の気持ちと亮の目線。
何故、美緒は離婚したがっているのか。
その同じ頃、居酒屋異空間では
AFTERGLOWのメンバーがはしゃいでる中、
源次郎は、直人を想い、
テーブル下に翳した手から
新たに出た紙を見ていた。
柴崎美緒 離婚。
未来予測ではない。美緒の気持ちが
文字で浮かび上がった。
ほう。本心がでたな。
続けて浮かび上がる名前を見る
藤堂亮33才
この人はたぶん…。
源次郎は、目を閉じ苦悩した。
ワシから直人さんに、切り出すか。
美緒さんが、先に切り出すか。
「おい!ジジイ!寝るなよ!」と、森田が
源次郎に声をかける。
さて、どうしたものか。
「ワシ寝てないもん!」と言いながら目を開けた。
その頃、バーのカウンターでは、
「ねぇ、亮ちゃん。私、亮ちゃんの家に
住みたい。」
なんて言い始める。顔は真剣だった。
亮にしてみたら、幼なじみだし、
実際、昔美緒とは付き合った過去がある。
別れてしまったのは、亮が
バーカンやりたい。と本気を出したから。
バーでは、
若い女の子達が亮に本気で近付いてくるし
ファンみたいな人が沢山できていく。
正直、焼きもちもあった。
辛くなったし、ケンカも増えた。
亮の、邪魔にはなりたくない。
これ以上、惨めになるのも嫌。
美緒は葛藤した。
亮も、店が軌道に乗るまで、忙しかった。
「幼なじみに戻ろう。」そう言ったのは
美緒だ。
本当は、亮とずっと一緒にいたかった。
美緒は、直人と結婚してからも、
亮の店に顔を出していた。
亮は、
「離婚する、しないは当人同士だから
俺何も言えないよ、で、うちに住みたいのは
どうして?住む場所探してる?」
と美緒に聞く。
「ちがう。探してない。
私が亮ちゃんと一緒にいたいの。お願いだから
考えて?」
美緒の言葉に、亮は絶句する。
仕事柄、亮は特定の人とは付き合っていなかった。
誰かと付き合っても、続かなかった。
しっくりこなかった。
結局、亮の気持ちの中には美緒が居た。
腹は括っていた。
美緒が時々飲みに来てくれて、
幸せだったらそれだけで、いい。
でも。もし美緒が辛い時には
助けてあげたい。
この夜、亮の奥底にしまいこんでいた気持ち。
それが、感情になるのを我慢した。
直人さん、弁護士だぞ。
そう思う亮の首筋に汗がつたう。
「美緒、話してくれてありがとう。
俺もちゃんと美緒の気持ちと、
自分の気持ちを考える。
時間がほしい。間違っても、家出なんて
したらダメだかんな!!」
亮は、そう言って美緒のオデコに軽く
デコピンした。




