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「申し訳ございませんでした。」
しおしおと蚊の鳴くような声で謝罪をすると田中は納得するように頷いた。
「熊野さん。」
田中の視線が慈鳥へと向く。慈鳥は特に表情を変えずにまっすぐと田中を見つめている。
「はい。」
「あなたの違反された規定のご説明は?」
少し鋭い田中の目つきに源は心配になって窺い見る。
「全て認識しています。」
「ならば結構。二日後までに始末書と監督責任者報告書を然るべき手順で提出してください。」
慈鳥はしっかりと頷き頭を下げると源はおずおずと手を上げる。
「俺はなんか提出はしなくていいんすか?」
「あなたは結構です。あなたの書類は感想文だと聞いていますので。」
源は反論できない。慈鳥に毎回言われていることであり、根気よく付き合ってもらい一週間かけてなんとか最低ラインの体裁を整えているから。二日後なんて、天地がひっくり返っても無理だ。
「それと、狸塚さんは改善報告書の提出です。」
少し声を張り田中の視線が源と慈鳥の後ろ、法具管理部の扉に向かった。すると、ガチャリと扉が開き狸塚が飄々とした表情で足を踏み入れた。腕を後ろに組み、なんとなく優雅に歩み寄る。
「さすが田中女史、地獄耳ですねぇ。」
慈鳥の横に並び立つと腕を解いた。真顔になる狸塚に少し、ぞくりとした。
「報告書は出すとして、簡単にご説明しても?」
田中はしばらく口を閉ざすと深く頷いた。




