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「分からないのであれば、調べなさい。」
源はぽかんと口を開けた。
「人に聞くでもいいです。」
「聞いてもいいんすか?」
そう尋ねると田中は源の目を見つめている。
「あなたは新人です。いえ、新人でなくても知らないことを知らないと言うことは悪いことでもなければ、恥ずべきことではありません。」
聞いてもいいのか。見て覚えろ、体で覚えろと幼い頃から言われ続けていた源には衝撃だった。
「ごめんなさい。」
慈鳥も田中も源の声が小さすぎて聞こえなかったのか、なんだ、と聞き返してきた。
「ごめんなさい。いっぱいルールを破ってごめんなさい。」
頭を勢いよく下げる。沈黙が続く。慈鳥の様子も田中の様子も分からない。きっと謝るだけでは許せない、許してくれない。それくらい大変なことをしたんだ。源はそう考えながら頭を下げ続けていた、が。
「違います。」
「へ?」
源はまぬけな声を出しながら顔を上げた。
「そこは、『申し訳ございませんでした。』です。」
田中は眼鏡の位置を直すように柄を指で軽く持ち上げた。きらりと眼鏡が反射したのだった。




