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デパートの地下、少し奥に行くと壁一面の冷蔵庫にはずらりと大小様々な瓶が並べられラベルがオシャレだったり毛筆でダイナミックに書かれていた。冷蔵庫の外、棚に飾られている箱は金ピカだったり変な絵が描かれていたり所狭しと並んでいる。
「お酒?」
棚の中の一本を手に持ってみる。この大きさの瓶なんて醤油でしか見たことない。
「落とさないでくださいよ。」
そう言われると慎重に棚へと戻す。
「お酒なんていいんすか?あーいう人達って飲んじゃいけないんじゃ?」
「仏教と同じですよ、国や宗派によって違いますから。」
狸塚は酒売り場のさらに奥の一角に足を運ぶ。源も付いていくと先ほどとは一転、冷蔵庫はなく先ほどと比べると照明は少し薄暗かった。周りは黒っぽい瓶やリンゴジュースみたいな液体が入っている瓶が並べてあった。ラベルはこちらもカッコいい。
「甘口の赤を一つ、贈答用で。」
店員に伝えると何本か持ってきては狸塚に見せて説明をしている。なんちゃら地方でーとか、鼻を抜けるなんとかみたいな香りでーとかよく分からない話を狸塚は瓶を見つめながら人差し指を軽く曲げ唇を当てている。つまらないな、狸塚から離れてズラリと並べてある瓶のラベルを見る。英語みたいな、ちょっと違うようなそんな文字が書かれていたり動物が描かれていたり。ちょっと面白かった。
「君にはまだ早いですよ。」
心臓と一緒に体も跳ねた。背後から音もなく近づき耳元で囁かれたら誰だって驚く。叫ばないだけ偉い。
「買ったんすか。」
まだドキドキとしている胸を押さえると狸塚に尋ねた。
「ええ、美味しいワインをそこそこの値段で。」
そこそこ、値段を抑えてもいいものなんだろうか。
「でもなんでワイン?」
お酒なら、色んな種類がある。詳しくはないけどさっきみたら吟醸とか焼酎とか札に書かれていたし。
「血、ですから。」
「血?」
狸塚は手に持っていた細長い紙袋の中から瓶を取り出した。
「赤ワインはキリストの血として用いますから。」
照明の光に照らされた瓶は黒だと思っていたが緑がかっていた。
「説明、聞きます?」
源は首を横に振ると狸塚を追い越すように少し足を早めた。
「頭痛くなりそうだからいいっす!」
「君、仏教以外の宗教の知識も学びなさい。」
絶対に嫌だ。自分の宗教だって覚えたくなかったのになんで他の宗教まで覚えなきゃいけないのか、面倒臭いだけだ。




