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あの後、教会に戻す法具以外は法具管理室へ戻した。ダンボールの中のものはほとんどガラクタといってもいい代物だった。機能が停止していたため狸塚も、慈鳥でさえもそれが法具だと気づかなかったらしい。
「偶然なのか、なんなのか。」
そう独り言のように呟いた狸塚の言葉がやけに耳に残った。
教会へ返却する魔法陣が描かれた古紙を両手でしっかりと抱える。雑に扱って怒られるのも嫌だけど、大切な預かり物だから。そう思いながらエレベーターに乗った。
「憂鬱ですねぇ。」
いつもの狸塚とは違い、わざとらしくないため息を吐いている。本当に嫌なのがひしひしと伝わってくる。
「狸塚、いいかげんにしろ。」
そう慈鳥が一喝する。しかし気持ちを切り替えることが出来ないのか、げんなりとした様子でまたため息を吐いた。
「狸塚さん、教会嫌いなんすか。」
エレベーターの壁に寄りかかり気鬱な雰囲気を盛大に醸し出している狸塚に明るい調子で尋ねる。
「別に、教会が嫌いなわけじゃないですよ。」
やさぐれ感が半端ない。鼻で笑いながらそういうと何度目かのため息を吐いている。エレベーターの中で一体何回ため息を吐くのだろう。数えてみようか、そんなことを考えているとエレベーターは地下駐車場に着いた。
「じゃあ、神様と相性が悪いとか。狸塚さん、お金に汚いから。」
ふふん、と鼻を鳴らしちょっと上から目線で言う。いつも揶揄ってくる仕返しだ。物理的にも狸塚を見下ろすと、ため息を吐かれた。一回目。
「権禰宜になんてこと言うんですか。」
ぽかんと口を開けると慈鳥を見た。
「ネギ?野菜?」
「神職の一つだ。狸塚は実家の神社で神職に就いてるんだよ。」
別の意味で口を開ける。狸塚を見て、慈鳥を見て、再び狸塚を見る。狸塚は少し調子を取り戻したのか胸を張った。
「お金に意地汚いんすよ、神様はそれでいいんすか?」
「本当に君は失礼ですね。」
狸塚は懐から車の鍵を取り出し、ボタンを押す。短い音が響くと運転席に乗り込んだ。源は助手席に、慈鳥は狸塚の後ろに座る。
「商売繁盛の神様だっているんです、守銭奴でも問題ありません。」
シートベルトを締めながら、そうなのか?と納得しかけるがふと、違う疑問が湧き上がる。
「じゃあなんでココにいるんすか?」
エンジンの掛かる音がする。狸塚はじっと源を見つめるとまるで妖狐の如く口角を上げた。
「力があるからに決まっているでしょう?」
アクセルが踏まれゆっくりと車が発進する。
「このまま、ドライブにでも行きます?」
「しつこいぞ。」
狸塚が珍しく間延びした返事をすると、どんどんと車はスピードを上げていく。窓の景色が廃工場から濃い緑の森へと変わる。まだまだ知らないことはたくさんあるんだな、源は運転席でぶつぶつと文句を言っている狸塚を無視しながら外を眺めていた。




