街へ到着
夕方になって、街の門に到着した。
本当なら余裕を持って昼頃に着きたかったが、仕方ない。
僕たちは出身証明書を見せて、すんなりと門を通ることができた。
「はは、村長の息子か、すごいな」
そう肩を叩かれたが、わざわざ口に出して言わなくてもよくないか?
商業ギルドのタグや冒険者ギルドを持っている人たちは、すぐに通される。すいすいと僕たちを追い抜いて入っていく。
けれど、そういうものを持っていない人たちは、門に留め置かれている。どうするのかと見ていたら、門の外へ追い出されていた。
さっきちらっと見たが、門の外にはそういう人たち向けの商売もあるみたいだ。
旅をしてきた僕たちよりも汚い格好で、口に入れて大丈夫か不安になる食べ物を、汚れたままの手でやり取りしている。
最後の一人が門を潜り、僕たちの方へ歩いてきた。
見るからに気が弱そうな子で、門番にイチャモンをつけられていたらしい。
「なんか、賄賂を出せって言ってたみたい。言い回しが理解できなくて、困っちゃった。
他の門番さんが、『村長の息子の連れだ』って耳打ちしたら、通してくれたよ」
ニコニコしてるけど、それ、駄目だろう。足元を見られて、自力で解決できていないってことだぞ。
だけど、この先は自分で対処する方法を編み出していくことだろう。
……きっと、大丈夫だ。
「ここで解散だな。みんなに輝かしい未来がありますように」
僕はそう締めくくった。
すぐに宿を探しに動ける子と、おろおろしている子がいる。
手を貸すかどうか迷ったが、僕も自分の宿を決めなければならない。
心の中で「頑張れ」と応援しながら、一歩を踏み出した。
僕はまず、領都への乗合馬車の時間を確認しようと思った。
それによって、朝何時に起きるかが変わってくる。
時間に余裕があったら宿を決めて、そこに荷物を置いていけるんだけどな。
急がないと、馬車の切符売り場が閉まってしまう。
早足で向かったが、遅かった。
軽く息が上がっているので、息を整える。
仕方ない。この後の流れは、宿探し、それから夕飯。
気持ちを入れ換えて、宿屋街の方へ向かった。
夕食を取りながら、みんなは大丈夫だろうかとふと考えた。
自分に余裕ができて、ようやく――だ。
温かいスープとパン。
それが体に染みて、緊張が解けていく。
僕は父に連れられて何度か街に来ていたが、初めて来る子もいるんだっけ。
これ、十二歳の子どもだけ街へ送り出すのは、無理なんじゃないか?
多くの親が子どもを街に出したがらないのは、こういう心配があるからなのかもしれない。
街へ出て村に一度も戻ってこない人たちの中には、街へ辿り着けていない人もいるんじゃないかな。
冒険者になった人はともかく、職人や商人は護衛をつけないとあの道のりを歩けないだろう。
ということは、僕も身を守る術を磨いておかないと、一年後に村に帰るのが大変だぞ。
アーデンの剣を見てから、実力が違いすぎてやる気が失せていたんだけど。
そうだ。明日は紛失した三人分の出身証明書のことを報告しないと。
どこに言いに行けばいいんだろう?
スプーンが手から滑り落ちて、カランと音を立てた。
いけない。眠気に襲われている。
昨日は交代で見張り番をしていたから、睡眠時間が短かったな。
僕は急いで残りの食事を片付けた。
その後四日ぶりに風呂に入り、ベッドで眠れることに感謝した。
余談ですが、この時の反省を得て、後年エドガーは引率を始めます。
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