第四十八話 体の源は魔力
ルミルにはシンジとミヨの言葉が耳に届いていた。
そう。それなりに意識はあったのだ。
昏睡状態・・その言葉を聴いてルミルは思ったのだ。
あぁ、そうか。この状態を言うんだ。
この、聞こえているのに返事ができず目を開けたくても見えないこの状態を。
ルミルは声でミヨが来たことを悟っていた。
すぐに起き上がってミヨに挨拶をしたかった。
だが、心がそう思っていても体がついてきてくれない。
魔力がないこの体はいくら精神面ガ強くても動かない。
目を開けることすら、言葉を出すことすらできないのだ。
魔力がなくても意識さえはっきりしていれば気力でカバーができるが
気絶すれば体はもう動かない。
体に魔力を取り戻さない限り。
体は魔力と自我(意識)で成り立っている。
片方だけだとかなり不安定だが強い意志があればそれなりに頑張れる。
だが、両方を失えば、もう動くことはできないだろう。
意識だけでもそれなりに限度があるから。
だからかな、
魔力が少しでも体に注がれて多少なりとも意識を浮き上がらせることができたのは。
昏睡状態っていうのはもともと、
意識が心の底に沈んでいることを言っているのも同然なんだ。
魔力が体に宿り、意識が浮上し、声も降り注ぐような感覚もそれにつれ薄れていく。
私はミヨの名を呼んだ。
が、ミヨによって意識は薄れていった。
今度は心の底に沈むのではなくて意識が完全に眠りに落ちる方だったけど。
そして私は目覚めた。
いや、誰かさんの異様な視線で目覚めさせられたとでも言うべきか。
じー・・・
私を・・私しか見据えていない瞳で私だけを見る視線は私を起こすのにはちょうどよかった。
「ん・・・」
私はぼんやりとした意識の中、身を起こした。
視線だけで起きるとは思ってもみなかったシンジが目を見開いたことが私には分かった。
「オマエ・・」
シンジは私を見据えて怒るような?心配しているような?声を出した。
「シンジ?・・ん・・おはよう」
私は首をかしげ笑いかけた。
声はなんかゆったりとした感じの物言いだった。
シンジは私に近づいてきた。
私はベットから降りた。
クラッ
視界が歪んだ。
体はふらつき、前へ倒れる。
シンジは私を支えた。
私の頭がシンジの肩に乗っかる。
私はシンジの肩に顔を埋めて
「・・昨日、ミヨ来たよね?」
と、問いかける。
シンジはコクンと頷く。
あいつがお前の言う奴なら
と付け加えた。
「お前、昏睡状態じゃなかったのか?」
シンジが私に問いかける。
昏睡状態・・・。
シンジはまだなったことがないんだろうなぁ。
「昏睡状態だったよ。
まぁ、昏睡状態って言っても意識が底に沈んでいただけの話だけどね。」
私は苦笑して答える。
「・・・」
シンジは眉をひそめた。
それがなぜか私には手に取るように分かった。
「あ・・私、もう大丈夫だから。」
私はそう言ってシンジを軽く押しやって離れた。
「・・・」
シンジは私をじっと見つめた。
お前が大丈夫って言って大丈夫だったためしがない
そう心の中で言っているんだろうか?
私は考える。
「平気、平気。ミヨのおかげで魔力は回復したし。」
私は気楽にへなへなと笑って見せる。
昨日、サトルたちと戦って勝った。
次は準決勝だ。
と言うか、今日準決勝試合があるんだけれどね。
「じゃあ、食べにいこ?」
私はシンジに誘う。
シンジから私を誘うことなんてないに等しいのだから。クールだし。
というか、シンジがいつも私の言葉を待っているのかもと勘違いしそうにもなるが。
「あぁ」
シンジは頷く。
そして朝食。
いつもと変わらない静かな風景。
以下省略。
そして試合が始まる。
と、その前に一つシンジに問われた。
「あの時、どうやって瞬間移動した?」
そんな言葉だ。
あちゃー。
やっぱり聞いてくるんだね。
「何でだと思う?」
私は質問返しした。
「・・・」
シンジは私の質問に答えない。
代わりに・・
「お前を診た奴とお前はどういう関係だ?
あいつはお前を償いの対象と言っていた。」
と、聞いてきた。
げっ
私はピンチに陥った。
「償いの対象?ミヨがそんなことを??
まじめな人だなぁ。
あの子そんなに、そのことに負い目があるんだ。
そうだねぇ、償いの対象って言うのは大げさだし、私はミヨを友達
だとしか思ってないよ?」
私は答えをはぐらかすように言った。
「そういうこともあいつは言っていた。」
シンジはしれッとした感じで言う。
「んー、シンジはそんなに気になるの?」
私はシンジを困らせるように聞いてみる。
「~~」
シンジは返答に困っているようだった。
私から視線をそらして何か考え込んでいるようだ。
素直にいえないってとこが案外シンジの弱点だったりして・・?
私は少しはにかんだ。
「・・・」
シンジは私をじっと見つめる。
「んー、いずれ、話してあげるよ。話す時期は今じゃない気がするし。」
私はそう答える。
いや、話す時期じゃないって言うより私が話したくないだけなんだけど。
「・・・」
シンジは何も言わない。
「・・。シンジ、そろそろホール行こう?」
私は話をそらして聞く。
「あぁ」
シンジは諦めたのか頷いた。
そして私たちの試合は始まったのだった。
これから、更新が不規則になり、その上、一話一話、話が短くなるかもしれませんのでそこはすみません。




