第四十三話 特殊な・・秘めたる力
私は早速リュウ君の手を引いて歩き出した。
シンジもその後ろをついていく。
「あっ、あそこ、僕あそこに行ったの。」
リュウ君がとある建物を指差して言った。
え?ここ・・お化け屋敷??
私は
「本当にここなの??」
と、とりあえず聞いてみた。
「うん。」
リュウ君は頷いた。
まさか・・ね・・
でも、どうせ聞くんだったら入っていかないとだめだよね・・・
リュウ君のため・・リュウ君のため・・これはリュウ君の・・・
私は自分に言い聞かせた。
「じゃあ、ただで聞くのも失礼だし、入っちゃおうか?」
私はリュウ君とシンジに聞いた。
「いいの?」
「・・・」
リュウ君は顔を輝かせて聞いてきた。
シンジは眉をひそめて私を見つめた。
「うん。それに入りたいんでしょ?リュウ君。」
私は聞き返した。
リュウ君の手からはそんな感情が流れてきている気がしたからだ。
リュウ君は俯いて
「ルミル、が・・入ってくれるのなら僕、入りたい」
と、言った。
「じゃあ、入ろう。」
私はリュウ君に微笑んで言った。
「シンジもいいでしょ?」
「お前がいいならそれでいい。」
シンジは私から目をそらして言った。
シンジ・・私は正直言うとお化け屋敷は行きたくなかった。
でも仕方ないよね・・リュウ君のためだよね・・
あぁ”~、それでもいきたくないどうしよぉ~~
「じゃあ、決定。行こうか。」
私は内心の焦りを押さえながら言った。
そしてお化け屋敷に入っていった。
「三名様ですね・・ではどうぞ。」
受付の人はにこやかにそう言って私たちを案内した。
そして・・中に入ったのだ。
私にとっては地獄のお化け屋敷へと。
私はリュウ君と手をつないでゆっくり歩く。
リュウ君はどこか楽しげだった。
シンジは私の隣で歩いている。
いつも後ろだったのにどうして??
私は動揺しまくりだった。
薄暗い道を歩く私は震えていた。
薄暗い道の脇には奇妙なお面や、赤く染めた服など・・それに頭蓋骨も・・
はっきり言ってここは地獄だ。
恐怖の館だ。
うぅ”~~。
偽りのものだと分かっていても怖いもんは怖いもんだった。
「きゃぁ~~!!!!」
そんな叫びが唐突にこだました。
私はその声を聞いて震え上がった。
シンジはぴくっと耳を傾けただけで、
リュウ君はわぁーと小さく呟いただけだった。
私たちはじわじわその叫びがしたほうへと近づいていた。
驚かせる場所が分かってるんだから怖くない怖くない。
自分に言い聞かせた。
それでも無理な気がすることは気づかない振りをする。
そしてその場所に到達する前に
どたどたどたッ!
そんな足音が背後に聞こえた。
「ひぃっ」
私はとっさに背後を振り向いたがだれもいない。
そして前を向いた瞬間、
「うぅ”ら”ぁぁ~め”ぇしぃ”あぁ~”」
と、変な奇妙な仮面をつけた人に脅かされた。
思わず、
「き”ゃぁ”~~~~^!!!!!!!」
と悲鳴を上げてシンジに抱きついてしまった。
シンジは脅した人をじろっとにらんだ気がした。
リュウ君が私の手をぎゅっと握ったことも手を通して分かった気がした。
私たちを脅した人はすぐさまいた場所に戻っていった。
「あ、ああ、あ・・ご、ごめんね、シンジ。
場所は分かってたんだけど・・・」
「・・・。別に。」
私は慌ててシンジから離れた。
私は立ち直ろうと
「リュウ君は・・大丈夫だった?」
と、聞いた。
「う、うん・・。でも怖かった。」
リュウ君の顔は言葉とは裏腹だった。
楽しかった。
そんな感情のような気がした。
「そう・・じゃぁいこうか。」
私はそう言って歩き出した。
シンジの・・別に。ってどういう意味だったんだろう?
その疑問が落ち着いた今の私が考えた疑問だった。
やがて・・お化け屋敷は終了した。
受付の人に私は
「あのぉすみません。この男の子の・・リュウ君の母親を知りませんか?
迷子になっちゃったみたいなんです。」
と、たずねた。
「今、リュウ君って言ったかい?
だったら、ついさっき来たよ。
今度はそっちのほうを探すって。」
受付の人は目を見開いて言った。
「ありがとうございます。」
私はそうお礼して受付の人が言ったほうへ行った。
もちろんリュウ君の手を引いて。
「リュウ君、お母さんはこっちのほうへ行ったって。
すれ違いにならなければ会えるよ」
「うん」
私の言葉にリュウ君は頷いた。
どこかさびしげに見えたのは気のせいだろうか?
心の中でそう思いながらもリュウ君に微笑んで歩いた。
そして方角を頼りに行き着いた先はなんとゲーセンだった。
ゲーセン・・それはゲームセンターの略である。
まぁ、それはだれでもわかるよな・・・
「ゲーセンかぁ。えーと、ひとまず、中に入ろう。」
私は戸惑いながらもそう言って中に入った。
中にはたくさんのゲームが・・。
リュウ君はそれを見て目が輝きだした。
やりたいのだろうなぁ。
心の中で私は呟いた。
「じゃあ、何やる?」
「え、いいの?
だったら・・あれがやりたい!
僕、前からやりたかったの!!」
リュウ君はもぐらたたきを指差して言った。
「モグラたたきかぁ。
じゃあ、私と一緒にやろう。」
「ルミルと!?
うん!僕やる!」
リュウ君は目をきらきら輝かせて笑顔で頷いた。
母親なんかよりそっちのほうがまるで良いみたいに。
うーん、この子の母親・・
私の母と同じような性格の持ち主だったらどうしよう。
私は悩んだが、すぐさまもぐらたたきまで歩いていった。
「じゃあ、リュウ君、私が先に手本を見せてあげる。
じゃあっいっくよぉ~」
私はそう言ってハンマーを握った。
そしてスタートの合図が出た。
テイ、テイ、テイ、テイ・・・・・・っっっっと。
出てきたモグラを瞬時にたたき始めた。
シュパパパパーン!!
モグラは穴の中へ帰っていく。
そしてフィニッシュの合図が出た。
まいりました。
その言葉が画像に映った。
「どう?分かった?
面白いよ、ほら、リュウ君。」
「ルミル、すごい。
僕も、やるぞー」
リュウ君はやる気満々でハンマーを受け取るとたたき始めた。
「えい、えい、・・これでどうだっ」
リュウ君はもぐらたたきに夢中になっている。
「シンジ・・あの子どう思う?」
私はリュウ君の幼い子供とはいえない動きを見ながら問う。
「特別な・・特殊な何かをあいつは持っている。」
シンジはリュウ君を見つめて答える。
「だよねぇ。あの子・・不思議な子だよ。
普通、あのぐらいの年の子なら
母親がいなければさびしがってなくと思うけど、
あの子、涙を見せない。
さびしいとは感じても泣くほどじゃないってかんじがする。
ふしぎだよねぇ。
それにあの速さ、普通じゃない。
あの子には何らかの力がある。」
私は呟いた。
やがてリュウ君はもぐらたたきを終えた。
「ルミルっ、僕すごく楽しかった。
次あれやりたい。」
リュウ君が次に指差したのは画像に映し出されたものを見ながら操るカヌーのようなものだった。
「うん、やろう。」
私はリュウ君に微笑んでカヌーへと向かった。
そして、カヌーにリュウ君と一緒に乗り込む。
「じゃあ、説明するよ・・・」
私はリュウ君に説明してあげた。
リュウ君は目を輝かせてうんうん頷いている。
「じゃあ、コイン入れるよ。」
私がコインを入れたとたん、画像にスタートの文字が映し出された。
「じゃあ、こぐよぉー」
私はそう言って横にあるものでこぎ始めた。
リュウ君も真似してこぐ。
画像に映し出された風景はジャングルの中だった。
「右、・・次は左・・そう・・かたむけてぇ・・・」
私はリュウ君に呟きながらカヌーを順調に進めませた。
リュウ君はとっても機嫌がよかった・・そう、そのときは。
ジャングルの中から景色が変わった。
それは滝!!
カヌーが思い通りに動かなくなった。
いろいろなところに画像のカヌーはぶつかった。
そして転落。
ゲームオーバー
その文字が深く映し出された。
「あーぁ、惜しかったねぇ、ゴールまであと少しだったのに。」
私はそう呟いてカヌーから降りようとした。
だが、リュウ君に服をつかまれ降りられない。
「リュウ君?」
「僕・・ゴールしたい。だめ?ルミル?」
リュウ君は上目遣いで聞いてきた。
「いいよ、リュウ君の気が済むまでやってあげる」
私はそう言って頷いた。
「ルミル、ありがとう。」
リュウ君はそう言って笑った。
そして私がコインを入れ、また再会させた。
だが、また同じ場所でゲームオーバー。
それが悔しくてもう一度・・もう一度と何度も繰り返した。
そのつど、リュウ君にその悔しさ・・苛立ちが募っていった。
そして・・
「もうコイン一枚しかないからこれで最後ね。
これで、ゴールできなくても・・・あきらめないとね・・・」
私はそう言ってリュウ君をなだめるようにしながらコインを入れた。
そして再び再開された。
そして何回もゲームオーバーになった場所に到達した。
そしてそこでまたカヌーのバランスが崩れた。
このとき、リュウ君の苛立ちは頂点に達した。
そう、そのときだった、
画像が映し出される機会が急にビリビリッと電気を帯びたのは。
ビリリッ!!!バリビキッ・・ドッカーン!!!!!!
私はその異変を目にした直後、私とリュウ君は爆発に飲み込まれた。
私はその爆風に吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた私はシンジにキャッチされた。
「おいっ!!」
シンジが私を抱き起こした。
「ん・・。!?シンジ!
リュウくんはっ・・・・・・・・!!??」
私は一瞬気を失っていたらしい。
そして目の前にある状況に言葉を飲み込んだ。
「リュウ君ッ!!」
私は叫んだ。
機械がおかしくなって爆発を起こしたと思った。
今の現状さえ見なければ誰もがそう思うはずだ。
だが、今の爆発はそうではなかった。
リュウ君が爆発の中心となって機会が壊れ、私は吹き飛ばされたのだ。
今もリュウ君は暴走していた。
リュウ君を中心に渦が巻き起こり電気を帯びていた。
「あいつ・・人間じゃないのか?」
シンジが信じられないと言う風な表情をしていた。
シンジ・・そんなこと言わないであげて。
かわいそう。
あの子は人間だよ。正真正銘の人間の子供。
リュウ君が人間じゃないと言うなら私はどうなるの?
私は心の中でシンジに聞いていた。
届かないことを知りながら。
「あの子は人間だよ。
ただ、内に秘めた大きな力が一時的な感情で外に出てしまっているだけ。」
私は立ち上がりながら言った。
そして、渦の中心に一歩前に出た。
「おいっ、どうする気だ?」
「あの子の暴走を止める。
私以外にたぶん止めれる人はいない。
あの子をとめることができたら、
人間じゃないと言われたあの子以上に私は人間じゃないかもしれないね。」
私はシンジの言葉に力なく笑った。




