第254話 最終話(前編:決意)
お待たせしました。
少々長くなったので2つに分けました。
最後まで誤字脱字やコメントありがとうございます。
「さて、これで準備は整ったかな」
思い返せば卒業式を終えてからは本当に大変だった。
もう少し落ち着いてから旅行に行こうと思ってたのに思って、とにかく大変だったんだから。
そんなこんなで旅立ちを決意するまでに様々なことがあったなあ。
卒業式が終わったあと、私は全く嬉しくないことに一躍時の人となった。
『薄明の光』なんてとんでもない称号もらっちゃったから、当然なことといえば当然なことだとは思うけど。
全校生徒から熱い視線をもらったり、くらいならまだ良かったんだけどね……。
例えば卒業式終了とともに後輩たちから突然の告白を貰いまくったり、それに触発されたのかウルフェン様から何度も求婚されたり。
モテること自体悪い気はしないんだけど、女性視点だとあまり良いようには見られないと思うし、何よりちゃんとお断りするのが難しい。
それに下手なこと言うと言質取られちゃうし、輝夜姫のように常識的に考えて無茶・不可能な条件を言ったとしても、マジでその条件に取り組みかねないし、見つかるはずもない物を探し続けたりしそうだし。
ウルフェン様からは昔から好意を向けられているせいか、だんだんと絆されてしまいそうな気がしないでもないけど、やっぱり友達の域を出ずお断り。
そもそも私の我儘な理由で王子様を振った手前、誰かになびくなんてのはあり得ないし。
っていうか、よく考えたらあんなエッチでセクハラ紛いなことばっかしてくるやつは願い下げよ。願い下げ。
まあね、ここまでだったらまだ……いや、全然良くないけど、まだマシだったのよ。
お父さんは王都騎士団第3部隊の隊長、お母さんは王都冒険者ギルドの職員かつ元ミスリルの冒険者、私は自分で言うのもなんだけど王国最高位の称号持ち、更には王族と公爵家が後ろ盾になってる。
そんな私たち一家に手を出すなんて明らかにリスクに見合わないため、犯罪者組織に狙われるなんてことは幸いなことに起こってない。むしろ王都を守ったことで、その筋の人たちからも感謝や注目されている。
って、王子様に聞いてびっくりした。
有名になったらパパラッチみたいなやつが湧いて出ることを心配してたけど、いや、実際に何回かインタビューみたいなことあったけど、まさかヤバい人たちにも認知されてたなんて。
確かにあんまり見たことないちょっと強面な人たちからも感謝されたりしたんだけど、まさかそんな人たちだったなんて気付かないでしょ。
それと、私の名前を騙って詐欺をする輩や自称親戚を名乗る謎の不審者が街に出没してたって。
王子様に詳しく聞いたところ、街の人たちとは昔から私と顔見知りだし、私のことをよく知ってるので大半は騙されなかった。それどころか逆に不審者たちを捕まえて衛兵に突き出したそうな。逞しすぎる。
私の名前を騙って悪いことした犯罪者集団が次々捕まっていったり謎の失踪したりと、後半若干怖いことが含まれてるけど、治安が良くなりみんなが喜んでるなら良いんだけどさ。
念の為、孤児院に被害有無の確認や注意喚起をしに行った。
ライアン院長やシスターナターシャから問題なかったことを聞いて一安心したあと、子どもたちにも気をつけるようお話した。
エリーの政策により、子どもたちは今では簡単な読み書き計算ができるようになっており、冒険者として街中心のお仕事に出てる。そんな子どもたちが被害にあったらたまったものじゃないしね。
そして子どもたちと話していて気付いてしまった。
いや、知ってしまった。
マジで私の話がいたるところで語られていると。
それだけじゃなく私の絵までもがめっちゃ取引されていると。
ファーレンハイト家のお抱え画家になったジェフくんがたまたま帰ってきており、絵についてはその彼から聞いたから間違いない。
というより、ジェフくんは昔から私が孤児院に来ており私のことをよく知ってる。だから今では私の絵描き第一人者みたいなことになっていて、それでさらなる成功を収めてると。
さらに孤児たち……見習いメイドになったビビちゃんが主に私たちがやりたい放題したことを功績や美談として、私が眠っていた2年を含めて仕事先で語りまくってた。
孤児院を修復したり、様々な技能を育てつつ収入が入る土台を作ったり、半分学校みたいにしたり……まあ事実は事実なんだけどさ。
そんなこんなで尾ひれはひれがついていくうちに民衆だけでなく貴族の間でも、心優しい聖女のようだとか、巨獣に立ち向かい仲間を救った戦女神のようだとか、挙句の果てにはネコミミ魔法少女になって魔物や悪者を成敗するのだとか、そんな下地が称号をもらう前から出来上がっていた。
街のみんなが安心して暮らせることは、私にとっても嬉しい出来事なのでそれは別に良いんだけど……
とんでもないことになってる!
というわけで決意した。
海外旅行でもしてほとぼりが冷めるまで待とう、と。
大丈夫。
新聞なんてないんだし、きっと人の噂も七十五日よ。
……既に取り返しのつかないことになってるような気がしなくもないけど。
改めてフランの積み上げてきたことを思い出すとかなりとんでもないことばかりでは、と思います。




