第255話 最終話(後編:旅立ち)
そう決めてからの行動は早く、いつ帰ってこれるか予想し辛いので関係各所に声かけして旅の準備を整えた。
思えばいろんな人と知り合えたなあ。
冒険者ギルド。
私的にはもう家族当然のミィさん。
受付嬢のみんな。
薬師のドクトル先生とシスターのナース先生。
ギルマスのトロイメライさんにサブマスのアクアお姉さん。
その他お世話になった大勢の職員の皆さん。
夫婦となったライトくんとルビーお姉さん。
世紀末トリオのリーダー、トゲトゲ、スキンヘッド。
私にエプロンの天啓を授けてくれた犬獣人のお姉さん。
戦いを共にした大勢の冒険者仲間たち。
街のみんな。
教会のおじいちゃんであるマクスウェル様。国内外を問わず何か困ったことがあったら教会でこれを見せなさいとご厚意で謎の紹介状を貰っちゃった。
アクセサリー&魔道具ショップ【月の明かり】で長年お世話になった従業員の皆さん。
【森の仕立て屋さん】王都店のダークエルフの店長ナルルナさんや、オネエでムキムキな店員ゴンザレスもといレースさん。
創作パンが美味しいパン屋のオヤジ。
孤児院のライアン院長、シスターナターシャ、画家のジェフくん、見習いメイドのビビちゃん、たくさんの子どもたち。
友達や学校関係者。
今や王国随一の治癒術師になったシア。
ウサギ獣人のおっとり、でもダンスが好きなキャロちゃん。
ウィート子爵家令嬢であるユリアーノ様。その友人であるイザベラ様とアーリィ様。
変態セクハラエロ狼もとい辺境伯令息のウルフェン様と友人であるエルフのローランくんとドワーフのランドくんの三馬鹿。
ヒューゴ先生とその奥さんになったサラさん。
ミュージカルの台本制作者兼監督のエルフっ子ちゃんチェルシー。
元生徒会メンバーのニコラウス会長、サブマスアクアさんの妹であるネッサお姉さん副会長、エミリア姉様、玉緒お姉ちゃんの先輩たち。
親友のご家族と関係者。
ファーレンハイト家のご当主様であるフレッド公爵閣下、公爵夫人のヴァージニア様。
そして執事のスチュアートさんにメイドのスーさん。
ムーンライト家のご当主様であるグレイ男爵閣下、男爵夫人のティファニー様。
私の親友であるエリーとアイリ。
幼馴染の王子様、マイケル様、マッシュ様。
今や契約によって私の保護者にもなってしまった友達のリン。
そしてお父さん、お母さんにペットのスラちゃん。
一人ひとり思い浮かべるだけでいろんな思い出が蘇る。
私の大切な記憶。
大切な縁。
そう思うと胸が、心が温かくなる。
「みんな、お見送りありがとね」
これから私は海外旅行だ。
同行者はミィさんとリン。それにスラちゃんだ。
交通網が発達した前世と比較し、帰ってくるまでどれくらいかかるか予想できない。
ミィさんが来た頃と比べてだいぶ時間が経ってるらしいし。
1年くらいかな?
それとも数年くらい経っちゃうかな?
隣国だし予想外にもっと早いかもしれないし、予想外のトラブルでもっとかかるかもしれない。
何にせよとても楽しみだ。
お見送りにはエリーとアイリ、お父さんとお母さん。
それに王子様にマッシュ様とマイケル様の信号機トリオ。
シアとキャロちゃんも来てくれた。
「リン様、ミスティ先生、そしてフラン、気を付けてくださいませ。無事をお祈り申し上げますわ」
「キャロル様と私でクッキーを作りました。道中食べてくださいね」
シアとキャロちゃんのクッキーってめっちゃ美味しいんだよね。
「キャロちゃん、シア、ありがとね! 二人とも健康に気をつけてね」
二人にそっとハグをする。
「フラン。俺たちからはこれを」
「これって……」
「そうだ、あのマスクだ」
王子様がゴールドとして活動してたときに使っていた認識阻害のベネチアンマスクだ。
「万が一の際は使うが良い。フランなら誤った使い方をしないと信じているぞ」
「分かった。絶対に無くさないように、でも緊急時には遠慮なく使わせてもらうね」
「フラン嬢、気をつけるんだよ」
「絶対帰ってこいよ!」
「うん、もちろんだよ!」
アイテムボックスの魔法でネコミミリングの空きイラストエリアにすぐさましまう。今の私なら爪のような小さな面積にでも収納できるんだよ。
「フラン、私とアイリからはこちらを」
「ありがとね……ってなんか見覚えがあるデザインなんだけど!?」
だいぶ落ち着いたデザインになってるものの、これはどう見てもあの変身ブローチだ。
ヒクヒクと顔が引きつる。
「そうよ。アンタがどうしても負けられない時に使いなさい。なんてったって防御力はなんと当社比2倍! 下手な全身甲冑よりもよほど強固! なんとリンの服と同じ技術を転用し、自動サイズ調整と自動修復機能も備えてるわ。核の魔石の交換は不要よ。必要魔力は普段のアンタから漏れ出る魔素でオートチャージされるし、緊急時には直接魔力を込めても充填できるわ。ちなみにリンの素材がなければ作れませんでした」
リンの素材っておい。
「どんな無茶な魔法陣でも耐えられる素材って素敵ですわ。理論上は可能、ということができますもの。思わずやりたい放題してしまいましたが……作った私もドン引きの性能になりましたわ」
「ほっほぉ〜。これがあのミュージカルで使ったやつの改良版じゃな。妾の……おっと、ヒミツなのじゃ」
「……もはや人工アーティファクト……」
「アタシのこだわりにより、ミスティ先生が使った場合は魔女っ娘仕様よ」
「なにそれ超見たい」
「…………」
「これがホントのヤバ遺物ですね!」
ねだる私にシアの謎ギャグでなぜかマイケル様が呼吸困難になるなどカオスになってきたのでいったん仕切り直し。
「フラン、分かっていると思うがあえて言わせてもらうぞ。冒険者は生きて帰ること。これが鉄則だ」
「うん、もちろん!」
「ケインと私からはこれを。一族の証でもあるわ。これを私とケインと思って持っているのよ」
「わあ、可愛いデザイン。ありがとね!」
木彫りの腕輪。
アクセントとして小さな丸い板に図鑑でも見たことのない花と葉が彫り込まれている。
そういえばお母さんが持ってる腕輪と同じデザインだ。
「ミスティ、魔王国についたら観光案内してあげてね」
「……もちろん……」
「リンドブルム様、どうかフランのことを頼みます。スラちゃんもよろしく頼むな」
「心配無用じゃ」
(ぷるっ! ぷるるるん!!)
私はお父さんとお母さんに出発のハグをする。
「じゃあ、みんな行ってきます!」
前世だったら海外旅行程度でこんな仰々しいお見送りなんてありえなかった。
でもこの世界では旅行なんてものはとても気軽に行えるようなものではない。ひとたび町や村から出れば魔物が闊歩するため命がけだ。
そのうち戻って来るとはいえ、今生の別れになることだってあり得る。
リンやミィさん、スラちゃんまでいるから万が一も起き得ないとは思うけど、物事に絶対なんてない。
それでも、私は世界旅行がしたい。
いろんな人たちと関わり、知り合い、文化の違いや考え方の違いを知ることが、楽しむことが大好きだ。
私はケットシー。
ファンタジーあふれるこの世界のファンタジーそのものな種族。
自分自身ですら知らないことがたくさんある。
世界にはもっともっと不思議なことや美しいことがきっとあるはずだ。
そして猫獣人でもある。
だから私は猫らしく、後悔しないよう、だけど楽しく気ままに生きて世界旅行するんだ。
大きく手を振りながら私たちは外壁を出て新たなる地を目指して足を踏み出した。
本作品はいったん完結といたします。
長い間、ご愛読いただきありがとうございました!
思えば2017/9/18に初回投稿から始まり、完結まで実に7年もの歳月を要しました。
様々なライフスタイルの変化が何度もあり、予定よりも超大幅に時間を要してしまいました。(150話頃から鈍足化してますね……)
時間にして7年。小学生が入学してから卒業するよりも長い年月も要するとは、当時は思いもしなかったでしょう。
自分でもよくもまあ続けられたなと思います。
エタらずに完結までできたのは、ひとえに皆様からの応援があったからに他なりません。
ありがとうございました!
P.S.
設定とかその他もろもろについて以下活動報告に載せました。
もしご興味ある方がおられましたら見ていただければと思います。




