第49話 最後の鍵です
海底神殿が大きく揺れている。
——ゴゴゴゴゴゴ……。
『境界鍵②破損率:82%』
スマホの表示を見た瞬間、俺は神器を握り締めた。
「まずはあいつを止めるぞ!」
「ええ!」
モモが男へ向かって走り出す。
「私も行きます!」
レモンが杖を構える。
「光よ!」
——パァァァッ!
レモンの放った光が男の動きを止める。
「今よ!」
モモが一気に距離を詰める。
——ガキィィン!
「くっ!」
男が攻撃を受け止める。
「この程度……!」
「まだよ!」
グレイプが杖を振る。
「炎よ、いけぇ!」
——ドォォォン!
炎が男を吹き飛ばす。
「やった!」
「まだ終わってない!」
クロエが叫ぶ。煙の中から男が立ち上がる。
「やはり5人で来ると厄介だな」
「だったら諦めろ!」
俺は神器を構える。
「境界鍵は渡さない!」
「それはできない」
男が手を上げる。
「この世界を救うには、鍵が必要なんだ」
「俺たちだって世界を救おうとしてる!」
「違う」
男が首を横に振る。
「お前たちは知らないだけだ」
「何を?」
「境界を安定させるには、世界を繋げなければならない」
「世界を繋げる?」
「そうだ」
男が境界鍵を見る。
「ライトディアと異界を完全に接続すれば、境界は安定する」
「そんなことをしたら……」
クロエが険しい顔をする。
「2つの世界が混ざり合う」
「その通りだ」
「そんなの駄目だろ!」
俺が叫ぶ。
「地球にもライトディアにも、それぞれの生活があるんだ!」
男が黙る。
「だから私は……」
その瞬間、男の足元に黒い魔法陣が現れた。
「何!?」
——バァン!
男の姿が消える。
「逃げたわ!」
グレイプが叫ぶ。俺はすぐに境界鍵へ向かう。
『境界鍵②破損率:96%』
「まずい!」
俺は神器を鍵へ向ける。
『神器による修復を開始します』
『パーティメンバーの力を要求』
「みんな!」
「任せて!」
グレイプが魔力を送る。
「私も!」
モモが剣を台座へ当てる。
「私の力も使ってください!」
レモンが杖を掲げる。クロエも手を伸ばした。
「私も力を貸す」
5人の力が境界鍵へ集まっていく。
——ピィィィン!
『修復率:10%』
『30%』
『60%』
『100%』
「やった!」
境界鍵が元の輝きを取り戻す。
【境界鍵:2/5】
俺は大きく息を吐く。
「間に合った……」
その瞬間、スマホに新しい表示が現れた。
『残りの境界鍵を確認しました』
【境界鍵③:王都】
【境界鍵④:境界神殿】
【境界鍵⑤:???】
「あと3つ……」
モモが画面を見る。
「でも、最後の場所がわからないわね」
そのとき、銀髪の少女が神殿の奥から現れた。
「最後の鍵なら、私が知っているわ」
「お前……いつの間に?」
「ずっといたわよ」
「全然気づかなかった……」
少女は最後の表示を見る。
「最後の鍵は、あなたたちが最初に旅を始めた場所にある」
「最初に……?」
俺は考える。
「王都?」
「違うわ」
「じゃあ……」
少女が俺を見る。
「あなたがこの世界に来た場所よ」
「……!」
俺は言葉を失う。
「俺が召喚された場所?」
「ええ」
クロエが静かに頷く。
「そこには最後の境界鍵がある」
「じゃあ、そこへ行けばいいんだな」
「そう」
少女は微笑む。
「ただし、その場所へ行けば全てが終わる」
「全部……?」
「あなたが元の世界へ帰るか、この世界に残るか」
俺は黙り込む。ずっと帰りたいと思っていた。地球へ帰る。それがこの旅の目的だった。でも、今まで一緒に戦ってきた仲間たちを置いて帰ることなんてできるのだろうか。俺が悩んでいると、レモンが笑った。
「タローさん」
「ん?」
「最後まで一緒に行きましょう」
「……ああ」
モモも頷く。
「5人でね」
「もちろん!」
グレイプが笑う。
「ここまで来たんだから最後まで付き合うわよ!」
クロエも頷いた。
「私も最後まで共に行く」
俺は仲間を見る。
「ありがとう」
そしてスマホを見る。
【境界鍵:2/5】
『メインクエスト更新』
『最後の境界へ向かえ』
【目的地:召喚地点】
俺は神器を握り締める。
「行こう」
俺たちは海底神殿を後にした。残された鍵は3つだ。そして、俺がこの世界へ来た場所には、この旅の最後の答えが待っているだろう。




