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異世界に転移したのでスマホで無双します〜このスマホはチートです〜  作者: 青上黒影
第二章

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第39話 本当の始まりです

 俺たちは異界神殿の階段を上っていた。最上階へ続く階段は長く、壁には見たことのない文字が刻まれている。


「さっきの守護者が言ってたこと……本当なのかしら」


 モモが呟く。


「神器を使うほど世界の境界が弱くなるって話か?」


「ええ」


「俺も気になってる」


 俺は手元の神器を見る。今まで何度も俺たちを助けてくれた。魔物を倒すときも、仲間を探すときも、元の世界へ繋がるときも、この神器があったからこそできたことだ。でもその力が世界を壊しているのなら話は変わってくる。


「タローさん」


 レモンが声をかける。


「神器を使うことを怖がらなくてもいいと思います」


「どうしてだ?」


「神器が悪いものだとは限らないからです」


「……」


「力には使い方があります。タローさんなら大丈夫ですよ」


「レモン……」


「そうよ!」


 グレイプが口を挟む。


「グレイプ?」


「神器の使い方なんて、使いながら考えればいいのよ!」


「お前はもう少し考えてから使ってくれ」


「何で私だけ!?」


 モモがおかしそうに笑う。


「でも、グレイプの言ってることも間違ってないわね」


「でしょう?」


「たまにはいいこと言うんだな」


「たまにはって何よ!」


 そんな会話をしながら進んでいると、階段の先に扉が見えてきた。


「着いたみたいだな」


 俺たちは扉の前に立つ。扉には大きな紋様が刻まれていた。中央にはスマホと同じ形をした紋章がある。


「これも認証か?」


 俺が神器を近づける。


 ——ピィィィン。


『異界の神器を確認』


『最終認証を開始します』


『パーティメンバー5人の認証が必要です』


「全員の認証が必要らしい」


 俺たちは順番に扉へ手を触れる。


『タロー:認証完了』


『レモン:認証完了』


『グレイプ:認証完了』


『モモ:認証完了』


『クロエ:認証完了』


『最終認証を完了しました』


 ——ゴゴゴゴゴ……。


 扉が開く。


「……!」


 その先には、巨大な部屋が広がっていた。部屋の中央には巨大な装置が浮かんでいる。その周囲には無数の魔法陣が回転していた。


「凄いわ……!」


 グレイプが目を輝かせる。


「これ、全部魔法で動いてるの?」


 俺はスマホを向ける。


『対象を解析します』


【名称:世界境界制御装置】

【状態:稼働中】

【危険度:S】


「世界境界制御装置……」


 クロエが装置を見つめる。


「ここが世界の境界を管理している場所か」


「じゃあ、この装置を使えば世界の境界を直せるんじゃないか?」


「可能性はある」


 俺は装置へ近づく。その瞬間――。


 ——ピィィィン!


『管理者権限を確認しました』


『神器所有者による操作が可能です』


 画面にいくつもの項目が表示される。


【世界境界の安定化】

【異界通信】

【世界間移動】

【世界融合】


「……世界融合まである」


 俺はその項目を見る。


「さっきの守護者が言ってたやつか」


 クロエが頷く。


「ああ。これを使えば世界と世界を繋げることができる」


「でも、そんなことをしたら……」


「世界の境界が崩壊する可能性がある」


「じゃあ使えないな」


 俺は世界融合の項目から視線を外す。


「だったら、世界境界の安定化を使おう」


 俺がタップしようとした瞬間だった。


「待って」


 銀髪の少女の声が聞こえた。


「……!」


 俺たちは一斉に振り返る。そこには、いつの間にか銀髪の少女が立っていた。


「お前……どうしてここに?」


「あなたたちを追ってきたのよ」


「どうやって?」


「それは秘密」


「それもかよ!」


 俺が頭を抱える。少女は装置へ近づいていく。


「その装置を使う前に、知っておいた方がいいことがあるわ」


「何だ?」


「この装置は、世界の境界を安定させるだけのものではない」


「どういう意味?」


「世界の境界そのものを管理しているの」


 少女が装置を見る。


「そして、この装置を作った者たちは――」


 そして俺を見る。


「この世界だけを守ろうとしたわけではないわ」


「じゃあ、何を守ろうとしたんだ?」


 少女は少し間を置き、答えた。


「全ての世界よ」


「全ての世界……?」


 その瞬間、装置が突然大きく動き始めた。


 ——ゴゴゴゴゴゴ!!


「何!?」


 スマホが激しく震える。


『緊急事態を確認』


『複数の世界から境界崩壊を検出』


【ライトディア:境界安定度 42%】

【地球:境界安定度 37%】

【第三世界:境界安定度 28%】


「地球まで……!」


 俺は息を呑む。


「これ、俺たちが何とかしないと全部の世界が危ないってことか?」


 クロエが剣を握る。


「そういうことだな」


 レモンが杖を構える。


「なら、やることは決まりましたね」


 グレイプも笑う。


「勿論!」


 モモが俺を見る。


「あたしたち5人ならできるわ」


「……そうだな」


 俺は神器を握る。


「世界を救うっていうのは、こういうことなのかもしれないな」


 その瞬間、装置の中央に新しい表示が浮かび上がった。


『世界境界崩壊までの推定時間を計算します』


『残り――』


 数字が表示される。


【72時間】


「……3日?」


 俺は画面を見つめる。


「3日以内に何とかしないと……」


 銀髪の少女が静かに言った。


「そういうことよ」


 そして、彼女は俺たちを見る。


「ここからが、本当の旅の始まりね」

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