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異世界に転移したのでスマホで無双します〜このスマホはチートです〜  作者: 青上黒影
第一章

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25/51

第25話 絆の力です

 巨大な衝撃波が研究施設を駆け抜ける。


 ——ズガァァァン!!


「うおおおおおっ!」


 俺は神器を構えたまま吹き飛ばされないように踏ん張る。


「タロー!」


 モモが叫ぶ。


「大丈夫だ!」


 俺は立ち上がる。目の前ではもう1人のタローが神器を構えている。身体から溢れ出す魔力はさっきまでとは比べ物にならない。


「やっぱり強いな……」


「当然だろう」


 もう1人のタローが笑う。


「私はお前自身なのだからな」


「いいや、それは違うな」


 俺は神器を握り締める。


「お前は俺じゃない」


「なに?」


「お前が俺の記憶を持っていても、俺と同じ顔をしていても――」


 俺は後ろを見る。レモン、グレイプ、モモ、そして黒い騎士。


「俺がここで出会ったものまで、お前と同じじゃない」


「…………」


「俺はこの世界に来てから、こいつらと一緒に戦ってきた」


 スマホが震える。


『パーティスキル《異界の絆》を確認』


『全メンバーの意思を確認しました』


【パーティ人数:5】

【連携率:100%】


「俺は1人じゃない!」


 俺が叫ぶ。


「だからお前には負けない!」


 もう1人のタローが神器を構える。


「ならばその絆とやら、見せてもらおう!」


「行くぞ!」


 俺たちは同時に走り出した。


 ——ガキィィィン!


 神器同士が激しくぶつかる。


「はあっ!」


 もう1人のタローが剣を振る。


「遅い!」


 俺は攻撃を避ける。


「今です!」


 レモンが杖を掲げる。


「光弾(ライト・バレット)!」


 ——シュシュシュシュッ!


 無数の光弾が飛んでいく。


「そんなもの!」


 もう1人のタローが神器で弾く。


「私には効かない!」


「なら、これはどう!?」


 グレイプが杖を振る。


「風よ、薙ぎ倒せ! 嵐の風(ストーム・ウィンド)!」


 ——ドォォォン!


 強風が吹く。


「今よ!」


 モモが飛び込む。


「はあああっ!」


 ——ズバァッ!


 モモの剣がもう1人のタローの肩を切り裂いた。


「ぐっ!」


「まだだ!」


 黒い騎士が一気に距離を詰める。


「はあっ!」


 ——ガキィン!


 神器を弾き飛ばす。


「今だ、タロー!」


「ああ!」


 俺は走る。もう1人のタローが神器を拾おうとする。


「させるか!」


 俺は神器を振り抜く。


 ——ズガァァァン!!


「ぐああああっ!」


 もう1人のタローが吹き飛ばされる。


【対象HP:21%】


「あと少し!」


 俺はさらに踏み込もうとする。しかし、その瞬間――。


『警告』


『世界境界安定度:5%』


「……5%!?」


 研究施設全体が大きく揺れ始めた。


 ——ゴゴゴゴゴゴゴ……。


「まずい!」


 黒い騎士が叫ぶ。


「このままでは世界の境界が完全に崩れる!」


「だったらあいつを倒せば止まるんだろ!?」


「違う!」


「え?」


 黒い騎士が俺を見る。


「もう1人のタローを倒しても、開いた境界は閉じない!」


「じゃあどうするんだよ!」


「神器を使うしかない!」


 俺は自分の神器を見る。


「どうやって?」


「お前と彼の神器は同じものだ。2つの神器を共鳴させれば、開いた境界を閉じられる」


「そんなことをしたら……」


 もう1人のタローが立ち上がる。


「私が消える」


「……!」


「そういうことだ」


 彼は静かに笑う。


「だったら……」


 俺は神器を下ろす。


「お前を倒す必要なんてない」


「なに?」


「一緒に境界を閉じる」


 もう1人のタローが目を見開く。


「私を助けるつもりか?」


「助けられるかどうかはわからない」


 俺は笑う。


「でも試してみる価値はあるだろ」


 グレイプが杖を握る。


「そうね」


 レモンも頷く。


「私たちならできます」


 モモが剣を構える。


「あたしたち5人ならね」


 黒い騎士も頷く。


「ならばやるぞ」


 俺はもう1人のタローへ手を伸ばす。


「お前も力を貸してくれ」


 もう1人のタローはしばらく俺の手を見る。


「……本当に、お前は変な奴だな」


「よく言われる」


 彼は俺の手を取った。その瞬間――。


 ——キィィィィン!


 2つの神器が強く輝き始める。


『異界の神器、共鳴を開始』


『パーティスキル《異界の絆》を接続』


【神器共鳴率:10%】

【30%】

【60%】

【100%】


「いけえええええっ!」


 俺たちの周囲に巨大な魔法陣が広がる。黒い亀裂が次々と閉じていく。


「境界が戻ってる!」


 グレイプが叫ぶ。


【世界境界安定度:20%】

【50%】

【80%】

【100%】


『世界境界の安定を確認』


『緊急クエストを達成しました』


『世界崩壊を回避しました』


「終わったのか……?」


 俺が呟く。静かになった研究施設の中で、もう1人のタローが自分の身体を見る。


「私は……消えていない」


「よかった……」


 俺はその場に座り込む。


「疲れた……」


「最後まで大変だったわね」


 モモが笑う。


「でもこれで帰れるんじゃない?」


「そうだな」


 俺はスマホを見る。


『異界通信機能を確認』


【接続先:地球】


『帰還条件を確認しました』


【異界の神器:適合済み】

【世界境界:安定】

【帰還準備:可能】


「帰れるのか……」


 その言葉を口にした瞬間、胸の奥が熱くなった。ずっと探していた。元の世界へ帰る方法を。それが今目の前にある。


「タローさん……」


 レモンが俺を見る。


「どうするんですか?」


 俺はしばらくスマホの画面を見つめる。


「今は帰らない」


「え?」


 グレイプが驚く。


「どうして?」


「まだこの世界にはやることがある」


 俺はもう1人のタローを見る。


「それにこいつのことも放っておけない」


「……タロー」


 もう1人のタローが小さく笑う。


「やはりお前を呼んで正解だった」


「お前が勝手に呼んだんだろ」


「それは……すまなかった」


「今さらかよ」


 俺は笑う。そのとき、スマホが震えた。


『メインクエストを更新します』


『異界の真実を追え』


 俺は画面を見る。


「何だこれ?」


 しかし、画面はすぐに切り替わった。


『新たな情報を検出しました』


【未登録世界:???】

【接続反応:確認】


「まだ何かあるのかよ」


 黒い騎士が険しい表情でスマホを見る。


「どうやら終わったわけではないらしいな」


「そうらしいな」


 俺はスマホを握り締める。元の世界へ帰る方法。異界の神器。もう1人のタロー。そしてまだ存在する未知の世界。俺の異世界での物語はまだ終わらない。むしろ――ここからが本当の始まりだった。

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