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異世界に転移したのでスマホで無双します〜このスマホはチートです〜  作者: 青上黒影
第一章

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第24話 それはもう1人の俺です

 俺たちは研究施設の最深部へ続く階段を下りていた。階段はどこまでも続いているように見える。周囲には古い魔道具が並んでいるが、ほとんどが停止していた。


「本当にこの先にもう1人のタローがいるの?」


 グレイプが不安そうに尋ねる。


「多分な」


 俺はスマホを見る。


【目的地:王立異界研究施設・最深部】


『目的地まで残り10m』


「もうすぐだ」


 黒い騎士が足を止める。


「ここから先は気をつけろ」


「何かあるのか?」


「この先にはかつて召喚実験に使われた部屋がある」


 俺はスマホを握る。


「そこで全部わかるんだな?」


「ああ」


 俺たちはさらに進む。やがて目の前に巨大な扉が現れた。


 ——ゴゴゴゴゴ……。


 扉が自動的に開いていく。


「広いな」


 扉の向こうには、巨大な円形の部屋が広がっていた。中央には大きな魔法陣が描かれている。そして、その奥には1人の男が立っていた。


「よく来たな」


 その声を聞いた瞬間、身体が固まる。


「お前……」


 男がゆっくり振り返る。俺と同じ顔。俺と同じ声。そして、俺と同じ姿。


「やっと会えたな」


「もう1人の……タロー」


 モモが剣を構える。


「タローと同じ姿をしてる……」


「当然だよ」


 男は笑う。


「私はタローだから」


「ふざけるな!」


 俺は前へ出る。


「お前は俺のコピーなんだろ!」


「コピー?」


 男が首を傾げる。


「違うよ」


「じゃあ何なんだよ!」


「私が本物だ」


「……!」


 男は魔法陣の中央へ歩いていく。


「お前は知らないだろうね。自分がこの世界に来る前のことを」


「来る前?」


「そうだ」


 男が手を上げる。すると空中に映像が浮かび上がった。そこには、見慣れた地球の街が映っている。


「これは……」


「お前がいた世界だ」


 映像の中に俺が映った。自宅へ向かって歩いている。


「俺……」


「そして、その直後」


 映像の中の俺が突然立ち止まる。黒い光が身体を包み込む。


『召喚対象を確認』


『異界の神器との接続を開始』


「……」


 俺は映像を見つめる。


「俺はこのとき召喚されたのか?」


「違うな」


 男が答える。


「ここからが本当の実験だ」


 映像の中に、もう1人の俺が現れる。


「……俺が2人?」


「そうだ」


 男が笑う。


「この研究施設は異界から召喚した存在を複製する実験を行っていた」


「じゃあお前は……」


「お前のコピーとして生まれた」


 俺は言葉を失う。


「だが私にはお前の記憶がある」


「俺の記憶?」


「そう。お前が地球で生きてきた記憶。家族、友人、仕事、日常。全部」


 俺の背筋が冷たくなる。


「じゃあ……」


「私はお前を見ていた」


 男が俺を見る。


「ずっとお前の人生を見ていた」


「……」


「だから私は自分こそが本物のタローだと思った」


 グレイプが口を挟む。


「でもどうしてタローをこの世界へ呼んだの?」


「それは私が頼んだからだ」


「何ですって?」


 黒い騎士が答える。


「彼は自分の存在を安定させるため本物のタローを必要としていた」


「つまり俺を呼んだのは……」


「私だ」


 もう1人のタローが答える。


「お前をこの世界へ呼べば私とお前の神器が共鳴する」


 俺は神器を見る。


「それで何をするつもりなんだ?」


「世界の境界を開く」


「境界を?」


「地球とライトディア。その2つを繋げるんだ」


 スマホが震える。


『重大な世界干渉を確認』


【世界境界安定度:18%】


「まずい……」


 黒い騎士が剣を抜く。


「このままでは世界の境界が崩壊する」


「だったら止めるしかないじゃないか!」


 俺は神器を構える。


「お前を倒せばいいんだろ!」


 もう1人のタローが笑う。


「やはりそうなるか」


 彼の手にも黒い板が現れる。


 ——シュインッ!


 光の刃が伸びる。


「だがお前には私を倒せない」


「やってみなきゃわからないだろ!」


 俺は走り出す。


 ——ガキィィン!


 神器同士がぶつかる。


「くっ……!」


「同じ力だ」


 もう1人のタローが俺を押し返す。


「私はお前だからな」


「だったら!」


 俺はスマホを見る。


『神器適合率を確認』


【タロー:50%】

【もう1人のタロー:98%】


「やっぱり俺より高い……」


「お前は私に勝てない」


「いや」


 俺は笑う。


「俺は1人じゃない」


 後ろを見る。レモン、グレイプ、モモ、そして黒い騎士。


「5人で戦うんだ」


『パーティレイドを確認』


『参加人数:5』


【連携率:100%】


「そうね!」


 グレイプが杖を構える。


「今度こそ私の魔法を見せてあげる!」


「私もいきます!」


 レモンが杖を掲げる。


「タローを助けるわ!」


 モモも剣を構える。黒い騎士が前へ出る。


「私も力を貸す」


 俺は神器を握り締める。


「行くぞ!」


 5人が一斉に走り出した。


 ——ドォォォン!


 研究施設全体が大きく揺れる。


 もう1人のタローが神器を構える。


「ならば私も全力で戦う」


 その瞬間、彼の身体から巨大な魔力が溢れ出した。


『警告』


『世界境界の崩壊速度が上昇』


【世界境界安定度:10%】


「じゅ、10%!?」


 俺はスマホを見る。


「このままだと世界が……!」


 もう1人のタローが叫ぶ。


「タロー!」


「何だ!」


「私を止めたいなら――」


 彼が神器を構える。


「お前自身の力で私を超えてみろ!」


 ——ズガァァァン!!


 巨大な衝撃波が広間を吹き飛ばす。


「うおおおおおっ!」


 俺は神器を構えた。

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