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異世界に転移したのでスマホで無双します〜このスマホはチートです〜  作者: 青上黒影
第一章

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20/51

20話 もう1人の俺ですか?

 スマホの画面に表示された文字を見つめる。


『新たなクエストが発生しました』


『もう1人のタローを探せ』


【目的地:???】

【推奨探索難易度:測定不能】


「……」


「どうしたの?」


 モモが俺の顔を覗き込む。


「いや……目的地が……どうやって探せばいいんだろうって」


「確かにそうね」


 グレイプがスマホを見る。


「せめて場所くらい表示してほしいわ」


「だよな」


 俺がため息をつくと、黒い騎士が口を開いた。


「目的地なら私が知っている」


「え?」


 俺たち全員が黒い騎士を見る。


「知ってるのか?」


「ああ」


 黒い騎士は頷く。


「どこなんだ?」


「王都だ」


「王都? 王都のどこだ?」


「王都の地下にある場所だ」


 黒い騎士は広間の奥を見る。


「このダンジョンはただの魔物が棲む場所ではない」


「じゃあ何なの?」


 グレイプが尋ねる。


「世界の境界を監視するための施設だ」


「施設……?」


「かつてこの世界と異界を繋ぐために作られた」


 俺はダンジョン・コアを思い出す。


「だからスマホと接続したのか」


「ああ」


 黒い騎士が頷く。


「そしてさっきの通信もこのダンジョンを経由していた」


「じゃああいつもここから俺に通信してきたってことか?」


「違う」


 黒い騎士は首を横に振る。


「あいつは向こう側からこちらへ干渉してきた」


「向こう側から?」


「異界の反対側だ」


 俺は眉をひそめる。


「俺の世界ってことか?」


「それも違う」


「え?」


 黒い騎士は俺を見る。


「お前の世界とこの世界。そのどちらでもない場所だ」


「何だよそれ」


 スマホが震えた。


『新しい情報を検出しました』


『世界構造を更新します』


【世界:ライトディア】

【異界:地球】

【???:未登録】


 俺は画面を見つめる。


「あいつはそこにいるのか?」


「恐らくな」


「だったらそこへ行けばいいじゃないか!」


「簡単にはいかない」


 黒い騎士が答える。


「世界の境界を越えるには神器だけでは足りない」


「じゃあ何が必要なんだ?」


「器だ」


「……レモンとモモが?」


 2人を見る。レモンは少し驚いた顔をしていた。


「私たちが……?」


「まだ確定ではない」


 黒い騎士が言う。


「だが神器がお前たちを候補として選んだ理由もそこにある」


「つまり俺が元の世界へ帰るためにも2人が必要ってことか?」


「そういうことだ」


 俺は黙り込む。元の世界へ帰る。それは俺がずっと望んでいたことだ。でも――。


「2人を危険な目に遭わせるのは嫌だな」


「タローさん」


 レモンが笑う。


「私は大丈夫ですよ」


「私も」


 モモが頷く。


「ここまで一緒に来たんだから」


「でも……」


「それに」


 モモが俺を見る。


「タローだけ帰る方法を探すなんて、もう無理でしょう?」


「私も行くわよ!」


 グレイプが胸を張る。


「お前は器じゃないけどな」


「それは今言わなくていいでしょう!」


 グレイプが怒る。


「ですが、グレイプさんがいると安心します」


 レモンが笑う。


「そうでしょう! そうでしょう!」


 グレイプが嬉しそうに胸を張る。


「やっぱり私が必要なのよ!」


「切り替え早っ」


 黒い騎士がこちらへ歩いてきた。


「話は決まったようだな」


 俺は頷く。


「王都へ戻ろう」


 その瞬間、スマホが震えた。


『新たなクエストが発生しました』


『王都地下遺跡を探索せよ』


『目的地:王立図書館地下』


『推奨パーティ人数:5』


「王立図書館の……地下……?」


 俺は驚く。


「あの図書館に地下なんてあったのか?」


「私も知らないわ」


 グレイプが首を傾げる。


「図書館なら何度も行ったことあるけど……地下に行ったことはないわね。どこにあるか知らないし、そもそも存在を知らなかったし」


 レモンも考え込む。


「王立図書館の地下なんて聞いたことがありません」


 黒い騎士だけが静かに答えた。


「隠されているからな」


「何で隠されてるんだ?」


「……」


 黒い騎士はその問いに答えず、歩き出した。


「そこにお前が探している答えの一部がある」


「召喚のことも?」


「そうだ」


「俺のスマホのことも?」


「そうだ」


「もう1人のタローについても?」


 黒い騎士は少しだけ振り返る。


「……それもだ」


 俺はスマホを見る。


【メインクエスト更新】


『異界の真実を追え』


『目的地:王立図書館地下』


『重要度:極』


「行くしかないな」


「ええ」


 モモが頷く。


「行きましょう」


「私も準備はできてるわ!」


 グレイプが杖を握る。


「今度こそ私の天才っぷりを――」


「それはもういい」


「何でよ!」


 レモンが笑う。


「ふふっ」


 俺たちはダンジョンを後にするため、来た道を戻り始めた。しかし、そのときだった。スマホが突然震える。


『警告』


『未知の干渉を検出しました』


「……?」


 画面を見る。


【通信元:???】

【メッセージを受信しました】


 そして、画面に1行の文字が表示された。


『タロー、次は私から会いに行く』


「……!」


 俺は立ち止まる。


「どうしたの?」


 モモが尋ねる。


「……いや」


 俺はスマホを握り締める。


「何でもない」


 そう答えながら、俺は画面を見つめた。もう1人のタロー。あいつは一体何者なのか。そして、なぜ俺を待っているのか。その答えを知るために、俺たちは王都へ戻ることになった。

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