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異世界に転移したのでスマホで無双します〜このスマホはチートです〜  作者: 青上黒影
第一章

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第19話 自分を探します

 スマホの画面に表示された文字を何度も見返していた。


『接続すると、元の世界と通信できます』


 レモンが俺の隣から画面を覗き込む。


「元の世界の人たちと話せるってことですよね?」


「そうみたいだな」


 俺は頷く。


「俺のいた世界と通信できるなら……」


 家族や友人のことが頭に浮かんだ。もう二度と見ることもできないと思っていた。


「タロー……」


 モモが俺を見る。


「大丈夫?」


「ちょっと驚いただけだ」


 俺はスマホを握り締める。


「それより早く試してみよう」


「待て」


 黒い騎士が口を開いた。


「今すぐ接続するのはやめた方がいい」


「何でだ?」


「その通信機能がどういうものなのかまだわからないからだ」


 黒い騎士はスマホを見る。


「異界と通信するということは世界の境界に干渉するということだ。何が起きるかわからない」


「でも……」


 俺は画面を見る。


「せっかく元の世界と繋がるんだぞ」


「気持ちはわかる」


 黒い騎士は静かに言った。


「だが焦るな」


「……」


 確かにその通りだった。今までこのスマホに救われてきたが、だからといって何も考えずに使うのは危険かもしれない。


「じゃあどうすればいいんだ?」


「まずは通信先を確認する」


「通信先?」


 黒い騎士が俺のスマホを指差す。


「そこに表示されている接続先だ」


 俺は画面を見る。


【接続先:???】


「でも、???じゃ確認できないだろ」


「だから解析する」


「どうやって?」


 黒い騎士が少し考える。


「できるはずだ」


「方法を聞いたんだけど……」


 仕方ないのでとりあえずスマホを操作してみる。すると画面に新しい項目が表示された。


『接続先の解析が可能です』


『解析しますか?』

 

『YES』

 

『NO』


「出た」


「やっぱりね」


 グレイプが嬉しそうに近づいてくる。


「こういう未知のことってワクワクするわ!」


「危険とか考えないのか?」


「考えるわよ」


「本当に?」


「ちょっとだけね!」


「もっと考えてくれ……」


 俺はため息をつく。


「解析してみるか」


 『YES』をタップした。


『接続先の解析を開始します』


 スマホの画面が暗くなる。


『異界通信回線を確認』


『世界座標を確認』


『接続先を特定しています』


「……」


 全員が画面を見つめる。数秒後、画面に文字が表示された。


『接続先を特定しました』


【接続先:地球】


「……!」


 俺は思わず息を呑む。


「地球……」


「タローさんの世界ですね」


 レモンが微笑む。間違いない。俺がいた世界だ。しかし、その下にはもう1つ表示があった。


【通信状態:不安定】


『警告』


『現在の接続では長時間の通信を維持できません』


『推定通信時間:3分』


「3分だけか……」


「それでも繋がるならよかったじゃない」


 グレイプが励ますように言う。


「そうだな」


 正直3分は短い。でも繋がるだけでもいい。俺は画面をタップした。


『異界通信を開始します』


 ——ピィィィン……。


 スマホから聞き慣れない音が鳴る。


「……」


 画面に円形の表示が現れた。


『接続中……』


 俺は息を止める。そして――。


『接続しました』


「……!」


 画面が切り替わった。そこには見たことのない映像が映っていた。俺のいた街だった。見慣れた道路。走っている車。見慣れた建物。


「本当に……俺の世界だ」


 胸が熱くなる。


「タローさん……」


 レモンが不安そうに俺を見る。


「大丈夫だよ」


 俺は笑う。そのとき、映像の端に見覚えのある人物が映った。


「……え?」


 俺は画面へ顔を近づける。


「どうしたの?」


 モモが尋ねる。


「今……誰かいた」


 映像を拡大する。そこに映っていたのは――。


「俺……?」


 画面の中に俺と同じ顔をした人物が立っていた。


「タローが2人……?」


 グレイプが目を見開く。


「そんなことある?」


 画面の中の『俺』は、こちらを見ていた。そして――。


 口を動かした。


「聞こえているか?」


「……!」


 声が聞こえた。俺自身の声だった。


「おい!」


 俺はスマホへ叫ぶ。


「誰だお前!」


 画面の中の俺が笑った。


「やっと繋がったな」


 その瞬間、黒い騎士の表情が変わった。


「……まずい」


「何が?」


「その男はお前ではない」


 画面の中の俺が、再び口を開いた。


「タロー」


「……!」


「私はお前をずっと待っていた」


 スマホが激しく震える。


『警告』


『未知の存在からの干渉を検出』


【対象:???】

【危険度:測定不能】


「おいおい……」


 俺は黒い騎士を見る。


「一体何なんだよ……」


 黒い騎士は剣を握り締めた。


「お前をこの世界へ召喚した理由にも関係している」


「何だって?」


 通信画面の中で俺が笑う。


「次はこちらから迎えに行く」


 ——ブツッ。


『通信が切断されました』


「……」


 広間が静まり返る。俺はスマホを見つめたまま動けなかった。


「今の人……」


 モモが呟く。


「タローと同じ顔だったわね」


「俺にもそう見えた」


 グレイプが黒い騎士を見る。


「あなたは知ってるの?」


 黒い騎士はしばらく黙っていた。


「……ああ」


「だったら教えてくれ」


 俺は黒い騎士を見る。


「俺と同じ顔をしたあいつは一体誰なんだ?」


 黒い騎士はゆっくりと口を開いた。


「お前の――」


 その瞬間、スマホが震えた。


『新たなクエストが発生しました』


『もう1人のタローを探せ』


『目的地:???』


『推奨探索難易度:測定不能』

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