第18話 これがパーティの絆です
巨大な炎が広間を埋め尽くす。
——ゴオオオオオオオオッ!!
「来るぞ!」
黒い騎士が叫ぶ。
「全員、避けろ!」
俺たちは左右へ散る。炎が床を焼き、壁まで赤く染めていく。
「熱っ!」
「タローさん、大丈夫ですか!?」
「大丈夫!」
俺はスマホを見る。
『パーティレイドを開始します』
『参加人数:5』
【タロー】
【レモン】
【グレイプ】
【モモ】
【???】
『各メンバーの能力を共有します』
「能力共有?」
次の瞬間、身体の中へ力が流れ込んできた。
「何だこれは……」
今まで感じたことのない感覚だった。グレイプも驚いた顔をしている。
「私の魔力が……みんなと繋がってる?」
「俺にも感じる」
モモが剣を握る。
「身体が軽いわ」
「私もです」
レモンが自分の手を見る。
そして、黒い騎士も自分の身体を確認していた。
「……こんな力が」
「お前にも効果があるのか?」
「ああ……私にもある。この力があればあいつとも戦える」
魔物が再び翼を広げる。
——バサァッ!
「来るわよ!」
グレイプが杖を構える。
「今度こそ私の魔法を――」
「待って」
モモがグレイプの肩を掴む。
「1人で攻撃する必要はないわ」
「え?」
「今は5人で戦えるんでしょう?」
モモが俺を見る。
「そうだな」
スマホには全員の名前と共にいくつものアイコンが表示されていた。
『連携攻撃が使用可能です』
【連携率:100%】
「これなら……!」
俺はアイコンをタップする。
『連携攻撃を選択してください』
【剣撃連携】
【魔法連携】
【全員攻撃】
「全部強そうだな……」
「なら全部使えばいいじゃない」
グレイプが即答する。
「そんなジュースを全部混ぜようみたいなノリで言われても……」
「やってみなきゃわからないでしょう?」
「それもそうか」
俺は【全員攻撃】を選択した。
『連携攻撃を開始します』
『攻撃対象を指定してください』
「もちろん、あいつだ!」
魔物へ指を向ける。
『対象をロックしました』
すると、スマホの画面に攻撃の順番が表示された。
【1:レモン】
【2:グレイプ】
【3:モモ】
【4:???】
【5:タロー】
「俺が最後か」
「最後に決める役ってことね」
グレイプが笑う。
「期待してるわよ、タロー」
「プレッシャーかけるなよ」
魔物がこちらへ向かってくる。
「いきます!」
レモンが杖を掲げる。
「光弾!」
——シュシュシュシュッ!
無数の光弾が魔物へ飛んでいく。
「グオオッ!」
魔物が顔を背ける。
「今よ!」
グレイプが杖を振る。
「炎よ、焼き尽くせ! 火炎爆破!」
——ドォォォン!
巨大な炎が魔物を包み込む。
「効いたわね!」
グレイプが叫ぶ。
「次はあたし!」
モモが地面を蹴る。
——シュッ!
一瞬で魔物の懐へ入り込む。
「はあっ!」
——ズバァッ!
モモの剣が魔物の胸を切り裂いた。
「グオオオオオッ!」
魔物が大きく後退する。
「次は私だ」
黒い騎士が剣を構える。
「その力……借りるぞ」
彼女の剣に黒い魔力が集まる。
「はあああっ!」
——ズガァァン!
斬撃が魔物の身体を大きく切り裂いた。
【対象HP:61%】
「まだ61%もある!」
「かなり硬いわね」
グレイプが驚く。
「次はタローよ」
モモが俺を見る。
「俺の番か」
神器を握り締める。するとスマホに新しい表示が出た。
『最終攻撃を開始します』
『神器適合率:50%』
『パーティスキル《異界の絆》と連動します』
神器の刃が光り始める。
『全メンバーの能力を統合』
『特殊攻撃を解放します』
【異界連撃】
「これで終わらせる!」
俺は魔物へ向かって走る。
「グオオオオオオッ!」
魔物もこちらへ突っ込んでくる。
——ドドドドドドッ!
巨大な爪が迫る。
「遅い!」
俺は攻撃を避け、そのまま懐へ入り込む。
「うおおおおおっ!」
神器を振り抜く。
——ズガァァァァン!!
巨大な光の斬撃が魔物を包み込む。
「グオオオオオオオオッ!!」
広間全体が光に包まれた。数秒後。光が消える。魔物はその場に倒れていた。俺はスマホを見る。
【対象HP:0%】
『討伐を確認しました』
『経験値を獲得しました』
『パーティレイド成功』
『特別報酬を獲得しました』
「やった……」
俺はその場に座り込む。グレイプも杖を下ろす。
「当然よ! 私たち5人ならこれくらい――」
「グレイプさん、最後に攻撃したのはタローさんですよ」
「私の魔法がなかったら倒せなかったわ!」
「はいはい」
「やめてよその反応!」
レモンとモモが笑う。黒い騎士は魔物のいた場所へ歩いていく。
「終わったな」
「そうだな」
俺は立ち上がる。
「これでようやく話を聞かせてもらえるよな?」
黒い騎士が振り返る。
「お前にはまだ話していないことがある」
「召喚のことか?」
「それもそうだ」
黒い騎士は少し間を置く。
「そして――」
彼女が俺のスマホを見る。
「その神器がなぜお前を選んだのかもな」
その瞬間、スマホが震えた。
『ダンジョン攻略報酬を確認しました』
『新機能を解放します』
『機能解放:異界通信』
画面には見たことのない番号が1つだけ表示されていた。
【接続先:???】
そして、その下には。
『接続すると、元の世界と通信できます』
「え?」
俺は画面を見つめる。
「元の世界と……通信できる?」
俺たちは顔を見合わせた。黒い騎士だけが険しい表情を浮かべていた。




