第11話 ダンジョンで頑張ってます
俺たちはダンジョンの奥へ進んでいた。先ほどから魔物の数が増えている。ゴブリンだけでなく、狼のような魔物や巨大な昆虫まで現れたが、グレイプとモモのおかげで危なげなく倒せている。
「この程度なら余裕ね!」
グレイプが杖を振る。
「火球!」
炎の球が飛び、魔物を吹き飛ばす。
「グレイプさん、お見事です!」
「当然よ! 私は天才魔術師なんだから!」
「また言ってる……」
「事実なんだからいいでしょう!」
俺は苦笑しながらスマホを見る。
【パーティ連携率:58%】
いつの間にか連携率もかなり上がっていた。
「順調だな」
「そうね」
モモが周囲を見回す。
「でも、さっきから魔物が少なくなってる」
「少なくなってる?」
「ええ。さっきまではたくさんいたのに」
確かにそうだ。
ダンジョンの奥へ進むほど魔物が強くなると思っていたが、逆に静かになっている。嵐の前の静けさなのか。
「……嫌な感じだな」
その瞬間、スマホが震えた。
『警告』
『強力な魔力反応が接近しています』
「何か来るぞ!」
俺が叫ぶ。直後、地面が大きく揺れた。
——ズズズズズッ!
「きゃっ!」
レモンがよろめく。
「大丈夫か?」
「は、はい!」
俺たちが身構えると、前方の壁が突然崩れた。大量の土煙が舞い上がる。
「何なの!?」
グレイプが杖を構える。土煙の向こうから、巨大な影が姿を現した。体長は3mほど。全身を黒い鱗に覆われ、頭には2本の角が生えている。
「……ドラゴン?」
レモンが呟く。俺はスマホを向ける。
『対象を解析します』
【種族:ダンジョン・オーガ】
【危険度:B】
【魔力:C】
【攻撃力:A】
【防御力:B】
【弱点:雷】
「オーガだって」
「Bランク……?」
グレイプの顔が引きつる。
「どうするの?」
「どうするって……」
俺はオーガを見る。
「倒すしかないだろ」
「そうね……私なら余裕よ!」
グレイプが杖を構える。
「弱点が雷なら、私の雷魔法で――」
オーガが腕を振り下ろした。
——ドゴォン!
「うわっ!」
地面が砕ける。
「ちょっと! 話くらい聞きなさいよ!」
「敵が待ってくれるわけないだろ!」
「待ってくれてもいいじゃない!」
「気持ちはわかるけど!」
オーガが再び拳を振り上げる。その瞬間、モモが飛び出した。
「モモ!」
モモはオーガの腕をすり抜け、そのまま懐へ入る。
——ザシュッ!
剣が鱗を切り裂いた。
「グオオオオッ!」
「浅い……!」
モモが後退する。オーガが怒り狂ったようにモモへ向かってくる。
「危ない!」
レモンが杖を掲げた。
「光弾!」
光の弾丸がオーガの顔へ直撃する。
「グオッ!」
一瞬、オーガの動きが止まった。
「今です!」
「任せて!」
グレイプが杖を掲げる。
「雷よ、我が敵を貫け!」
杖の先に強烈な電撃が集まる。
「雷撃!」
——バチィィッ!
巨大な雷がオーガを直撃した。
「グオオオオオオッ!!」
オーガが絶叫する。
「やったか!」
俺はスマホを見る。
【敵HP:42%】
「まだだ! 気をつけろ!」
「嘘でしょ!?」
グレイプが驚く。
「私の雷撃を受けてまだ動けるの!?」
オーガが立ち上がる。そして、こちらへ向かって突進してきた。
「まずい!」
俺はスマホを構える。その瞬間、画面が光った。
『戦闘支援機能を使用できます』
『対象の弱点を表示します』
「新機能か?」
画面を見ると、オーガの身体に赤い印が浮かんでいた。
【弱点部位:右胸】
「右胸が弱点だ!」
「わかったわ!」
モモが駆け出す。
「モモ、ここは任せた!」
モモはオーガの攻撃を紙一重でかわし、そのまま右胸へ向かって跳躍した。
「はあっ!」
——ズバァッ!
剣が深々と突き刺さる。
「グオ……」
オーガの動きが止まった。そして、その巨体がゆっくりと倒れていく。
——ドォン!
「倒せた……のでしょうか?」
レモンが恐る恐る尋ねる。俺はスマホを見る。
【敵HP:0%】
『討伐を確認しました』
『経験値を獲得しました』
『パーティ連携率が上昇しました』
【パーティ連携率:72%】
「やりましたね!」
レモンが嬉しそうに笑う。
「やったわね!」
グレイプも満足そうだ。
「私の雷撃が決め手だったわ!」
「最後に倒したのはあたしだけど?」
「そ、それは……!」
モモが笑う。
「皆さんのおかげです。ありがとうございます」
レモンが微笑む。
「そうだな」
俺も頷く。すると、スマホが震えた。
『ダンジョン攻略進行率:50%』
「まだ半分なのか」
その直後、ダンジョンのさらに奥から――。
——ゴゴゴゴゴ……。
「……また何か来るぞ」
俺たちは一斉に奥を見る。スマホのマップには、さっきのオーガよりさらに巨大な赤い点が表示されていた。
『警告』
『推定危険度:A』
「……」
俺はスマホを見つめる。
「どうやらここからが本番らしい」
「まだ強いのが来るの!?」
グレイプが目を見開く。
「天才魔術師なんだろ?」
「そ、そうよ! 私は天才魔術師なんだから! どんな敵が相手だろうとへっちゃらよ!」
彼女はどこか強がっているように見える。
「油断大敵ってわけね」
モモが呟く。
俺たちの目の前に現れたのは——。




