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「3軒隣りのニィナちゃんじゃねえか。」


オヤジさんが少女を見つめ声を掛ける。


「あっ、おじちゃん……。」


「あのね、あのね…ごめんなさい!!」


ギュッと目を瞑り、両手で自分の服を握り締めながらニィナが言った。



ニィナから聞いた事の顛末はこうだった。

家族でご飯をよく食べに来ていたニィナは、オヤジさんがある日腰をさすっているのを見つける。

父親と最近前傾姿勢が辛くてね。歳かねぇ…。と話しているのを聞き何とか助けになりたいと思ったらしい。

忙しい時間だ。自分が手伝いに来て気を遣わせる訳にもいかない。きっと、内緒でピカピカにお皿が片付いたらおじちゃんは喜ぶだろう。そう言う事だった。

ただ、まだ小さな子供だ。なにぶん背も力も足りなかった。洗っている最中に皿を落としてしまい。

やってしまった!という思いと、叱られるかもという思いで思わず隠れてしまっていたらしい。

次こそは!との思いで連日通っていたらしい。

バタバタする時間だったからこそ、すんなり忍びこめたようだ。


半泣きで、ニィナが話終えると、オヤジさんはとても優しい顔をしていた。

ゆっくりと立ち上がると、棚へ行き瓶から飴玉を取り出した。


「助かったよ。ありがとう。」


しゃがみこみニィナに視線を合わせると飴玉を差し出して、もう片手で少女の頭を優しくなでる。


「どういたしまして…。でも…。」


「ニィナちゃんの優しい気持ちが1番嬉しかった。おっちゃん、それだけで腰痛いの治りそうだ。」


「治るの…?」


「治るさ。でも、おっちゃんが治ってもニィナちゃんが割れた皿で手を切っちゃったら台無しだ。」


「…ごめんなさい。」


「だから次からは内緒はダメだよ。」


「うん。」


「頼りにしてるからね。」


「わかった!おじちゃん。私いっぱいいっぱい力持ちになってすぐに背を伸ばすからね!そしたらたくさんお手伝いする!!」


「ありがとう。」


「じゃぁ、お母さん待ってるかもしれないから!またね!」


満面の笑顔で手を振り走っていくニィナを見つめるオヤジさんの目は何処か懐かしかった。

子供の頃の俺を見つめる祖父の目と重なってみえたからだろうか。遠ざかる少女を見届けながら、俺は亡くなった祖父を思い出していた。

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