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1枚…2枚…皿の怪異は突然に

どうやら暫くぼんやりしていたらしい。


「ほらっ!ボヤボヤしてねぇで行くぞ!」


リュカに腕を引っ張られ、少しふらつく。


「お前…。俺が心折れてるの分かんねーの?!」


「うるせぇよ。ウジウジしてても腹は膨らまねぇ。行くぞ。」


「ちょっ、待てよ。何処にだよ。」


「そんなお前に仕事をとって来てやったぞ。喜べ。お金様(依頼主様)からのご依頼だ。」


何とも仕事の早い事である。朝から依頼を受けてきたのか…。その熱心さをもう少し、俺の心のリカバリーにも向けて欲しい。


「チッ…鬼かよ……。わぁった。準備する。」



「まっ、あれだ。今回は可哀想だから奢ってやるよ。早めの昼飯と行こうや。」



「……おう。」



絶対1番高いもの頼んでやる!そう心に決め、俺はのそのそと準備を始めた。




レストランに着くと、まだ昼ご飯には少し早い時間だからか人はまばらで、すぐに座る事が出来た。

すぐに店の子が来てメニューを渡してくれる。


「いらっしゃい。」


「おう。ミア。」


「今日は早いのね!今日はこの煮込みがおすすめよ。ソースをパンに付けて食べるのも美味しいの。」


「へぇ、美味そう!ありがとう。」


よく来る店だからか、お互い顔見知りだ。

セミロングの髪を1つ結びにしているこの子はニナ。

看板娘だ。俺たちにも何時もニコニコと話かけてくれる。あんな事が起きて落ち込んでいるのに、つられてこちらもニコニコしてしまうから不思議だ。


「…これを頼む。」


少し仏頂面のリュカは、ベーコンの入った野菜スープ

とサンドイッチを頼んでいた。

一方俺は1番高いものを…と思ったが、結局おすすめの煮込みとパンを頼むことにした。



「んで、依頼主は誰なんだ?」


「あぁ、ここのオーナーだよ。どうも店を閉める前、片付けをしていると、急に皿が割れるらしい。」


「皿?」


「そう。シンクにつけてある洗っていない皿がすっと浮いて割れるらしいんだ。その場には誰も居ないのに。」


「で、俺はどうしたらいい訳?」


「その原因を探って欲しいそうだ。もし霊の仕業ならその除霊もだと。」


「なるほどな。俺の十八番だ。」


俺は魔法使いである。世の中には色んな魔法使いがいるみたいだが、炎、水、風、雷など数ある中で、俺が得意とするのは光。浄化の魔法である。色んな場所に出ることがある、淀みを消すとか、悪いものを祓うなど、霊媒師に似たこともしている。薄く光魔法を発動させると悪しきものや、この世ならざる者がぼんやりと浮き出てわかる様になるのだ。

この姿と相まって昔は聖女だの騒がれたっけ…。

男だがな。


「まぁ、とりあえずゆっくり食おうぜ。何にせよ見るのは、昼営業が終わわって夜営業が始まるまでの間だ。」


リュカがそう言い、スプーンを運ぶのを見ながら俺も食事を楽しむことにした。



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