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「仕事だ!」
「うわっ!」
勢いよく開いた扉にクラヴィオは肩を跳ねさせた。
案の定、そこにはリュカが立っていた。
「お前もう少し静かに入ってこれないのか?」
「無理。」
即答だった。
「何でだよ。」
「静かに入ったら面白くないだろ。」
「お前の娯楽のために心臓を犠牲にした覚えはない。」
「依頼だ。」
「嫌だ。」
「まだ何も言ってないぞ。」
「嫌な予感しかしない。今日は休むって決めたんだ。」
「金になる。」
クラヴィオの動きが止まった。
「……いくらだ?」
「話を聞く気になったか。」
「金になるなら話は別だ。」
「現金な奴だ。」
「借金取りに言われたくない。」
リュカは肩を竦めた。
「依頼人はもうすぐ来る。」
「また勝手に決めたのか。」
「そろそろ来る。」
「ちょ、聞けよ。」
その時入口のチャイムが鳴った。
クラヴィオが戸をあけると、線の細い男性が小さな木箱を持って立っていた。
男性が遠慮がちに頭を下げる。
「こ、こんにちは。今日は、よ…よろしくお願いします…。」
俺とそう歳は変わらない位だろうか。癖の無い黒髪に眼鏡をかけており、真面目そうな雰囲気である。オドオドとした喋り方と酷い猫背。落ち着かないのか視線をキョロキョロと泳がせ、眼鏡をしきりになおしている。
「どうぞ。お上がり下さい。」
ソファーまで案内する。男性は恐縮しながらソファーに腰掛けた。
「お飲み物お持ちしますね。紅茶は大丈夫ですか?」
「は、はいっ…。」
「あ、俺はコーヒーで。」
態度のでかいリュカを無視して、戸棚から茶葉の入った缶を出す。勿論紅茶は3人分淹れる。お客様用のカップに注ぎいれる。リュカには敢えて欠けたカップを用意する。
…リュカにはこれで十分だ。
クラヴィオは依頼主の元へと戻った。




