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盲目少女の転生記~聖女へと至る道~  作者: 海・海
第5章:チート勇者爆誕
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第5話:人間界最強VS魔王

 (さすがに部下に気を使って戦える相手じゃないな)


 そう思ったグランは、不安要素を排除しにかかる。


 「我流剛剣術・剣弾驟雨(けんだんしゅうう)


 グランの飛ぶ斬撃。その突きの雨は、最奥の象の魔物含めた脅威になりそうな強さを持つ魔物、魔族を殲滅していった。


 「残りの雑魚は部下にも十分任せられる。お前が親玉だろ?あとはおまえを倒せば万々歳だ」


 「さすがね。人間界最強の男。グラン・ブライトレオ。軍事大国ヴァルゴンにも、あなたほどの強者はいない。邪法に使うつもりだった魔物をあっさり殺されたのは業腹だけど、あなたを殺せればおつりは十分」


 「まだガキのお前を殺すのは忍びないが、心を痛めるのは殺した後にするか」


 「痛めてくれるだけ優しいわ。……魔王、ミラ。あなたを殺す!」


 「グラン・ブライトレオ。てめえを斬る」


 剣と拳の衝突が、空中で始まった。




 「すごい。二人の戦闘の余波がここまで」


 私、リーナは、その様をただ見ていることしかできなかった。


 「呆然としていないで、手伝ってください。団長が強そうなのをあらかた片づけたとはいえ、まだ魔物は残っています……後ろ!」


 「!?」


 騎士に言われて後ろを振り返り、その視界に映ったのはゴブリンの凶爪。それにのどを貫かれそうになる寸前……。


 「はあっ!」


ザックがゴブリンを切り伏せた。


 「助けに来たぞ。遅れて悪かった」


 ザック、ミレイ、レイラ、キキョウ。全員が、私を助けに来てくれた。


 「みんな、今はグランさんが魔王と戦ってる!巻き込まれないように注意して」


 と、リーナが注意したそばから流れ弾の炎弾が向かってきた。


 「「「「風魔法・サイクロン」」」」


 リーナ、ミレイ、レイラ、キキョウ。四人一斉に起こした竜巻が炎弾を防ぐ。正面から迎え撃つより螺旋状の風で力を上にそらしたほうがいいという、四人の的確な判断の結果だった。


 「ギリギリ防げたけど……」

 「余波でこれなの……?」


 ミレイ、レイラが力の差に愕然とする。今防いだ炎弾は、グランさんが斬ったミラの魔法。その消滅しきれなかった部分にすぎない。


 現段階で私たちが貢献できることは何もない。ただ、自分の身を守るだけだ。




 「炎魔法・プロミネンスエクスプロージョン」


 「ちぃっ!我流剛剣術・剣扇撃(けんせんげき)


 広範囲の炎魔法に対し、広範囲の薙ぎ払い。衝突の余波は、周囲の焼け焦げた草原が証明していた。


 「嫌がらせみたいに広範囲の攻撃ばかりしてきやがって」

 (何人、いや何百人死んだ?)


 これほどの戦闘。巻き込まれた人数は二桁では済まないだろう。そのことが、クランはとてつもなく悔しかった。


 「嫌がらせみたいじゃなくて嫌がらせよ。つらいね、守るものが多いと。自分の身だけ守ってれば、一つの魔法に対して何十回も剣を振る必要も、広範囲の飛ぶ斬撃を出す必要もないのに」


 ミラは守るべきものが多い相手との戦闘を心得ていた。庇護対象を攻撃すれば、それを守るために動かざる終えない。勝負ごとにおいて重要なのは相手の嫌がることをすること。そのためなら、ミラはどこまでも残酷になれる。


 「団長、私たちのことは気にしないで、自分のためだけに戦ってください!」

 「ここで団長の足を引っ張るくらいなら、死んだほうがましです!」

 

 「おい何言ってんだふざけんな!」

 「俺たちも守れよ騎士団長だろ!?」


 空気の読めない冒険者はともかく、騎士は思いっきり戦えと背中を押してくれた。


 (馬鹿野郎どもが。そんなお前らだから、守りたいんだろうが)


 「どうする?部下を見捨てて全力で戦う?それとも、部下をかばって私に殺される?」


 「……部下がこれ以上死ぬ前に、てめえを殺す」


 早期決着。それが、グランの思いついた部下を巻き込まず自分が思いっきり戦う方法だった。


 グランは空気を蹴って跳ぶ空中移動法をやめ、地に降りた。そして、上半身を思いっきりひねり、構える。その構えは、どこかバッターボックスに立つ野球選手の構えに似ていた。


 「一撃で終わらせてやる。我流剛剣術奥義・絶剣(ぜっけん)


 絶剣。それは簡単に言えば、身体のひねりを利用した最大威力の斬撃に、自分の全魔力を乗せた一撃。つまり、グランが出せる一番威力の高い技だ。しかしこれは、打った後魔力がほぼ空になるため、使うなら絶対に当てなければならない。


 「くだらない。確かに威力は脅威だけど、そんな大技転移してよければ……なっ!?」


 魔法使いがもつ最大の回避方法、転移魔法を実行しようとして、ミラは気づく。あまりの威力に、周囲の空間が歪んでいることに。


 「これじゃ転移が……うわぁああああああああ!!!!!」


 転移魔法を使うには、現在地点の空間と、転移先の空間を詳しく把握する必要がある。その現在地の空間が歪んでいる以上、転移による回避は不可能。


 「この奥義は、いざとなれば転移すればいいと思ってる奴ほどよく効く。お前がその例に当てはまるかは賭けだったが、該当したみたいだな」


 我流剛剣術・絶剣。その軌道上には、何も残っていなかった。空間が歪むほど高威力の一撃。その軌道上に生物がいれば、その生物は普通、死体すら残らない。


 「俺の勝ちだ」



 

規格外な登場人物の戦闘って、書くの楽しい。

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