第4話:別れ
ー深夜ー
「昨日はミラの様子がおかしかったけど・・・気のせいだよね?」
様子がおかしかったのはあの時だけだし、今日だって何も変わりなかった。
・・・・・ただ、あの時感じた闇のことを、忘れることはできなかった。
・・・すぐに首を振って思考を放棄する。
「何かの気のせいだよね?きっとこれからもいつもどうりが続くよね?」
こんな急に日常が終わるはずがない。これからも私とミラの関係は続くはずだ。
・・・はずなのになんで・・・・・こんなに胸騒ぎがするんだろう?
「アカネちゃん」
ミラの声だ!?いつもは寝ているはずなのに。こんな時間に何の用だろう?
「どうしたの?」
内心の動揺を悟られないように声をかける。
「別に~。ただちょっと眠れなくてさ」
ミラの声は変わらない。いや、心なしかいつもより上機嫌な気がする。
何があったのだろう?こんなに上機嫌なミラは初めてだ。
「ん~、前置きはいいや!本題にはいろ」
「本題?」
いったい何の話があるのだろうか?明日は特に何もないはずだが?
「うん、そう。ねえ?アカネちゃん。この村から抜け出そう」
「えっ!?」
「一緒に抜け出して、一緒に暮らそう」
「ちょっ!?いきなり何言ってるの!?」
意味が分からない!?なぜ急にそんな話が出るのだろうか?
「ッ、大体、外に抜け出した後はどうやって生活していくの?」
「ん?魔物を狩ってレベルアップして、力を蓄えてあいつらに復讐するの」
「復讐?」
「そう、あいつらだけは絶対に許さない。だから殺すの。一緒に殺そ?」
何言ってるの?意味分かんない。
復讐?殺す?一緒に?
「冗談・・・・・だよね?」
「そんなわけないじゃん。本気だよ」
『感情感知』は相手のある程度の感情は読めても、深層心理を読むことまではできない。それでも、嘘を言っているかいないかはわかる。
「本気で言ってるんだったら、復讐なんてやめて!そんなの間違ってる!!!」
「うん、そうかもね」
「だったら・・・「でも!!!」」
私の言葉をさえぎって・・・ミラははっきりと口にした。
「たとえ間違っていても、私は意見を変えない!」
「なんで!?」
「分んないよね?はじめから親もいない、はじめから何も持っていないあなたに、私の気持ちは」
「え?」
「私のお父さんは魔族で、お母さんはエルフだったんだ。二人とも優しくてさ、魔族の村で石を投げられてた私をかばったり、村の大人の人と話し合って私が村で暮らす期間を延ばしたり、とってもいい両親だった」
「だった・・・?」
「・・・・・死んだんだよ。二人とも」
「!!!!!」
「魔族の村人に炎魔法で焼きながら殺された。お母さんが最後の力を振り絞って、転移魔法でお母さんの故郷、つまりここに転移してくれた」
「ここが・・・ミラのお母さんの故郷?」
「そこからはアカネちゃんが知っている通りだよ」
・・・確かに今の話が本当なら、ミラの憎しみにも納得がいく。けど・・・
「だからって・・・人を殺していい理由にはならない!」
そう言ったら、ミラは今まで見たこともないような憤怒の表情で私を睨んだ。
「何も知らないくせに偉そうなことを語るな!あなたにわかるのはせいぜい迫害される辛さだけ!親を失った悲しみも、それにより生まれた憎しみもわからないくせに私のやることにケチつけないで!!!」
「けど・・・」
「許せないのよ!私の親を殺して、私はこんなに苦しんでるっていうのに・・・あいつらはのうのうと生きてる。私のことなんて忘れて・・・そんなの悔しすぎて耐えられない。私はあいつらを殺したい!!!」
その瞬間、私は悟った。もう説得は無理だと。
この状況に混乱もしているしついていけてもいない。けど、今やるべきことは決まってる!!!
「腕ずくででも止めてみせる!」
「アカネちゃんってたまに腕力で強引に解決することがあるよね~」
「うるさい!『魔眼』」
私のMPはミラよりも多い。これで止められるはず。
「ん?洗脳系のスキル?そんなの持ってたんだ」
「そんな・・・効いてない?」
ありえない!洗脳条件は満たしているはずなのに!どうして?」
「それって希少スキルでしょ?だったら私には効かないよ。私は固有スキルを持っているから」
「なにそれ?」
「希少スキルよりも格上のスキル。その格は天と地ほどの差があるの。固有スキルに対抗できるのは固有スキルかそれ以上のスキルだけ。」
「あ・・・・・あああ・・・」
「固有スキル『簒奪者』発動」
「ああああぁぁぁぁ」
「あなたの私に関するすべての記憶を奪ったわ。私が返さない限り、二度と私のことを思い出すことはない。さよなら」
「まっ・・・・・て・・・」
そこで私の意識は途切れた・・・。




