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盲目少女の転生記~聖女へと至る道~  作者: 海・海
第2章:王国生活
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23/50

閑話:雨のちに虹

ー雨の日ー


「つまんねえな」


そういうザックの声は、ひどく退屈そうだった。


「「やった♥やった♥」


そういう二人の声は、とてもうれしそうだった。なぜなら・・・


「「「今日の修行は無し」」」


基本、雨の日は修行を行わないようにしている。風邪をひいても困るし、やりすぎは逆効果だからだ。にしても・・・


「何でザックはそんなに修行が好きなの?私だって生きるため、強くなるためにやっているんであって、好きでやってるわけじゃないんだけど。ザックは何のために強くなるの?」


人間、何かしら目標がないと頑張れない者だ。

私の場合は生きるためと前世での慣れで何とか頑張れている。しかし、それがないとおそらく私もミレイヤレイラみたいに、休みをあからさまに喜ぶようになっていただろう。


「生きるため。それ以外に理由があるか?(お前を守れるように、お前より強くなりたいなんて言えるかバ~カ!!)」


嘘だな。そんな不確かな理由じゃない。何かこう、確固とした信念のもと、己を鍛えている気がする。『感情感知』で分かることは、羞恥、動揺の感情。

まあ、本人が言いたくないのなら、それでいいだろう。強くなりたい理由なんて人それぞれだし、それを無理に訊くのは野暮というものだ。

だが、それを見ている三人の目が妙に生温かい気がするのは少し気になる。もしかして理由を知っているのだろうか?いや、私でもわからないのに、そんなわけはないだろう。


「よし!雨の日は座学を中心にやります。」


「何だと!!」


ザックは座学が苦手のようだ。地獄の体力トレーニングより座学のほうがいいと思うのだが、私にはよくわからん。


「お前らの知識は常識を外れすぎてわかんないんだよ!俺はただでさえ頭悪いのに!!」


ちなみに地球の科学知識のことは、すべてエルフの村で習ったことにしている。便利な設定だし、これからも何回か使うかもしれない。


「文句言わないでついてくる、私はザックを教えるから、レイラはミレイをよろしく。」


「は~い」


ちなみに前世の成績は、1位:私 2位:レイラ 3位:ミレイ となっている。だからミレイはまだ教えられる立場なのだ。



ー数時間後ー


「「「疲れた~」」」


「お疲れさま」


「「「なんでそんなに平気なの!?」」」


体力トレーニングがあるならともかく、それがなければ数時間頭をフルに使ったところでどうということはない。


「それより、雨やんできたかな?この調子なら、修行しても問題ないかな?」


「「「それはやめてくれ!!!」」」


さすがのザックも頭がオーバーヒートしている状態ではきついみたいだ。まあ。無理もないが。


「それより、たまにはのんびり景色でも眺めたりしねえか?」


言われてみれば、この世界で何かを楽しんだことといえば、会話くらいしかない。景色か・・・うん!悪くない!


「見に行こう!あ!今雨上がりだから、虹が出てるかも!!」


「「リーナちゃんは虹見たことなかったもんね~」」


「そうなのか?」


「うん!だからとっても楽しみ!!」


きれいだきれいだと聞いていたから、とっても楽しみだ。見るのが当たり前の人は別にどうでもいいかもしれないが、私にとっては見ることも十分楽しみの一つだ!今の私は、きっとだらしないくらい頬を緩めているだろう。ザックはちょっと頬を赤くして視線をそらした。そこまで笑う必要ないじゃないか!


(やべえ、かわいい)


心の中でそう思っている事がばれなかったのは、幸か不幸か・・・


「「早く出発しよ~!」」


「待って!今すぐ準備するから」


「あっ、おい」













ー虹の前ー



「「「「「キレ~~」」」」」


せっかくだからラーニャさんも一緒に来てもらった。家族勢ぞろいだ。


「リーナも女なんだな。景色見てキレイって感じるのは」


「「だったらもう少し服とか気を付けてほしいけどね」」


「大丈夫よ。この子は立派な女の子に育てるから」


「女の子扱いされてなかったの!!」


そんなみんなの冗談(だよね!そうだよね!!)は置いといて、ものすごく大きな虹である。


「こんな大きくてはっきりした虹は珍しいな」


「そうなの?」


「ああ、知ってるか?このあたりじゃ何か珍しいことが起きて、それがいいことだったら幸運が訪れるとか、願いが叶うとか、そんな風習があるんだぜ」


「へぇ、じゃあ、何か願い事しないとね」


そういって私は、いつかダークエルフとか関係なく、人が平等に生きていく世界が来ますようにと、そう願った。


「みんなは、何を願ったの?」


「ん?あたしはね~、頭がよくなりますように、強くなれますように、もっとかわいくなりますように」


私欲丸出しの願いであった。


「ミレイは十分かわいいよ(本当)。ほかふたつもじゅうぶん(棒読み)。レイラは?」


「えっと~、もっと胸が・・・大きく・・・・・なれますように」


ああ~、そういえば前世でもレイラは貧乳がコンプレックスだった。だが、その願いはかなわないだろう。オーズは容姿の変更をしないだろうから。

まあ、これを言ったらかわいそうだな。世の中知らないほうが幸せなこともある。


「うん。(汗)ザックは?」


「いえるか!(お前ともっと仲良くなれますようになんて!)」


「う~ん、ものすごく気になるけど・・・ラーニャさんは?」


まあ、だいたい予想は出来ているが・・・


「私は、あなたたちが幸せになれますように、かな」


やっぱり!本当にいい人だ!!


「あとは、ザックに強くて、同い年で、優しくてきれいな人と結婚できますように」


「ちょ!余計な気を使わなくていいって!」


とても恥ずかしそうに返すザック。でも、ザックは結構イケメンだし、そんな人とも結婚できるだろう。・・・なんだかみんなこっちを見てるけど、なんなんだろう?


〈称号:鈍感女を獲得しました〉


(は!?)



****


称号:鈍感女:ラブコメの主人公ですか?あなたは?


****



(意味わかんない!?)


意味不明な称号は置いといて、やっぱりいいものだな。こうゆう一日は。


「今度からは修行を減らして、たまにみんなで遊ぼっかな」


「「賛成!!!」」


・・・やっぱりなしにしよう。あからさまに言われると意見も変えたくなるものである。


「叶うといいな。みんなの願い事。」


「うん」



たまにはこんな日も悪くない。そう思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この称号、何か悪意と意志があるぞ・・・! なんだ、虚空に意思があるのはオモロイやん!
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