閑話:デート
「なあ、今日の夜にここに来てくれねえか?」
ザックが指定した場所は商店街周辺にある建物の中でもかなり高い部類に入る家の屋根だった。
「なんでそんなとこに行くの?」
「いや、そこは高いしあまり人にばれないから、そこから見る星はきれいだろうな~って・・・」
天体観測か!
「だったらみんなも「二人だけでだ!」え?」
「そこは俺が見つけた秘密の場所だ!だからほかのやつに教えるなよ!絶対だからな!!」
みんなで行ったほうが楽しいと反論しようとしたが、妙に迫力のあるザックに何も言えなくなってしまった。
「じゃあ、待ってるからな!!」
そういってどこかに行ってしまった。しかし秘密の場所ならなぜ私に打ち明けたのだろう?いつこんな場所を見つけたのだろう?ほかにも疑問はあったが、ひとまず置いておくことにした。
「どうしよっかな~」
まあなるようになるだろうと思い、考えることもやめた。
ー待ち合わせの場所ー
日が落ち始めて、そろそろ夜に差し掛かろうというとき・・・
「遅いぞ」
とっくに準備万端のザックがいた。
「まだ星も見えないのに何言ってるの?てゆうかここは「ごめん、待った?」「別に、今来たとこだ」って女の子に気を利かせるところでしょ!?」
「むっ、それはそうだな、悪かった(今ので嫌われたか?いや、大丈夫、まだチャンスはある。落ち着け俺!)」
ん?ちょっとは反論してくるかと思ったけど、なんか意外だな。そんな恋愛漫画みたいなこと実際にやる人そんなにいないと思うし
「別にいいよ、そんなに気にしてないし。でもなんで秘密なのに私には教えたの?」
「べっ、別にただ、お前になら教えてもいいかな~って、そう思っただけだバーカ!!」
その教えてもいいと思った理由を知りたいんだけど、結構顔赤いし、怒ってるのかな?何か不機嫌にさせるようなことしたっけ?にしても・・・
「あんた最近顔を赤くしながらバーカっていうこと多くない?私が話しかけてきたときとか。なんか称号の件のあとあなたの反応が少しおかしくなった気がするんだけど、気のせいなの?」
「こんだけ言ってのまだ気づかない何なら本当に馬鹿じゃねえか(ボソッ)」
「ん?何か言った?」
「なんでもねえよ。おっ、そろそろ星が見えてきたな」
「ん?」
そういって見上げた先には・・・
今まで見たこともない満天の星空があった。
ここからじゃあ月とほぼ変わらない大きさに見える月がいくつもある。日本みたいに星座を見つけたりなんてできないことが少し残念だが、おそらく環境汚染がない分地球より星がよく見えているだろうから、とてもいい景色だ。話で聞いていた日本の星とは全然違う、さすが異世界!すばらしすぎる!!
「わあ~!すっご~い!キレーー」
最高の景色だ
「気に入ってくれたか?」
答えは決まっている。
「うん。にしても、こんなところで二人っきりって、なんだかデートみたいだね」
「な!何言いだすんだよお前は。(そのつもりで誘ったんだけど、やっぱり通じなかったのか!?じゃないと恥ずかしげもなくそんなこと言えるわけないし、くそっ、こっちの気も知らないで!)」
デートか。前世では恋愛の要素はなかったけど、今世は恋愛ができるだろうか?
まあ、大人になってから考えるか。ダークエルフの寿命は長いし、こんな種族でも結婚してくれる変わり者にも会えるかもしれない。
「なあ、リーナ」
「ん?」
「俺、恥ずかしくて今はまだ言えないことがあるんだけどさ、大人になったら・・・この話の続き、聞いてくれくかな?」
「その恥ずかしいことが何なのか気になるけど、まあ別にいいよ」
「ありがとな。まあ、今はこの空を楽しむか」
「うん!」
もし、大人になってもう一度この場所に来たら、その時は、ザックと二人きりのデートになっているだろうか?
そう思いながら、私は空を見上げた。
案外脈あり・・・か?




