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盲目少女の転生記~聖女へと至る道~  作者: 海・海
第2章:王国生活
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第5話:覚悟

ブックマーク40件になってました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

あれから一週間、順調にスラム生活を送ってる。だが、一つ問題があった。それは・・・


「飯の時間だぞ~。」


そう、ご飯だ。まあ、私たちは居候みたいなもの。多少味が悪かろうがぜいたくを言える立場ではない、だが・・・


「これはないよ・・・」


少しカビが生えたパン、腐りかけの生野菜、濁った水、どれも人が食べるものとは思えないものばかりだ。


「もう無理~!!」


「さすがにこれ以上は耐えられません!!」


二人はもう限界が来たようだ。まあ、日本でさんざん舌が肥えたのだから、これはしょうがないだろう。エルフの村でも、香草で肉の臭みを消したり、果実汁で味付けしたりと工夫はあったが、ここのは食材の質も低い、調味料もない、肉すらない。私もそう長くは耐えられない。


「ここじゃあこんな食材が普通だ。これすらなくて餓死したやつだっているんだぞ!」


「「うっ!」」


そこまで言われたら食べないわけにはいかない。これを聞いて文句が言えるやつがいればそいつはよっぽどの下種野郎だ。しかしそれでも、おいしいものは食べたいのだが・・・


「前にも言ったはずだ!ここでの暮らし方は、金を稼ぐにはそこら辺のゴミの中で使えそうなものを売るしかねえ。飯の調達はそのごみの中でまだ食べられそうなものを拾う。水は雨水をためること。それが嫌なら盗むしかないって!」


さすがに盗むのはできない。前世の価値観が邪魔をする。


「まあまあ、そこまで言わなくてもいいじゃない。それにこの子たちはあなたが連れてきたんだから、ちゃんと面倒見なきゃだめよ」


「母さん、でも・・・」


ザックは黙ってくれているが、ただでさえギリギリな暮らしに三人も住人が増えたんだ。おそらくもうすぐ食料の備蓄が尽きる。レイラも『全能の耳』でザックの心の声を聞いているだろうから、そのことは分かっているはずだ。そろそろ、覚悟を決めないといけない。


「ザック、私に、盗みを・・・教えて」


「「「「!!!」」」」


私以外の全員が、その言葉に驚いた。


「そんなことしなくても、盗むくらいならあたしこのままでいいよ!」


「ミレイ、それは無理だよ。ここの食料はそんなに多くない。もうすぐ、食べられなくなる」


「レイラ・・・」


「確かに、レイラちゃんの言うことはもっともよ。リーナちゃんもそれがわかっているから言ってるんでしょう。でも、一度盗みを覚えたら、そこからまっとうな人生を送ることができなくなるわよ」


それは分かっている。一度盗めば、私の将来に何かしら影響はあるだろう。でも・・・


「それなら冒険者になります。冒険者は多少いわくつきでもなれるって聞きましから」


「でも、そしたら死ぬかもしれないじゃない!」


「覚悟の上です」


冒険者とは、小説によくあるような魔物を退治する職業だ。だが、一歩間違えれば死ぬ可能性がある。でも、それでみんなを養えるなら、それでいい。


「本気で言ってんのか?」


ザックがいつになく真剣に聞いてくる。それに対して、私は・・・


「本気だよ。だから教えて。お願い」


真剣に答えた。これ以上ないくらいに。


「・・・分かった。そこまで覚悟が決まってるなら、教えてやる」


「そんな!」


「やめて!リーナちゃんがやるくらいなら私がやる!」


二人は慌てているが、ラーニャさんは静かに見守っている。いや、よく見れば悔しさが表情ににじみ出ている。おそらく盗みをやらせたくないのは二人と一緒なんだろう。

でも、生きていくためにはこれしかない。だから耐えている。立派な人だ。

でも、私は二人に盗みをやらせる気はない。そんなことをやるのは、私一人で十分だ。


「ダメだ。お前らに教える気はない」


私が言う前にザックが断ってくれた。


「「どうして!?」


当然文句を言う二人だが、それに対する答えは・・・


「二人とも、リーナが宣言してから言い始めた。つまり、そこまでしないと決意できなかったってことだ。そんな半端な覚悟で、俺は人に盗みを教える気はない!!」


「「・・・・・」」


図星で反論できないのだろう。二人の表情には悔しさが出ている。


「ごめんね、リーナちゃん。私は、あなたに盗みなんかやってほしくない。ザックにも、やってほしくなかった。でも、私が代わりにやることもできない。本当にごめんなさい。ザックも、本当にごめんなさい」


「母さん、あの時だって謝っただろ。もういいって」


「ラーニャさん。私もやりたくて、自分の意思でやってるんです。だから、謝らないでください」


「・・・ありがとう」


それはこちらのセリフだ。私たちをここにおいても迷惑なのに、それを受け入れてくれたんだ。だから、この人のためにも私は頑張ると決めたのだ。


「ごめんなさい」


「何もできなくて、ごめん。許して」


二人は泣きながら誤ってくれる。けど、私は最初から二人に盗ませる気はない。だから別にいいといおうとしたとき・・・


「おい、もういくぞ」


そういわれて慌ててついていった。最後まで二人は泣いていた。それをラーニャさんが慰めている。



****



「俺は謝らねえぞ」


急にそういってきたので思わず「ん?」と問いかける。


「お前はちゃんと覚悟を決めた。そんな奴に謝罪するのはそいつの決意を踏みにじるのと同じだ。俺は、覚悟を決めたやつには、その覚悟に報いるために、必死で応援するべきだと思う。だから、厳しくしごいていくからな」


これが、彼なりの考え方なのだろう。おそらくこの厳しい環境の中で、様々な経験をしてきたはずだ。その経験でそんな難しい考えができるようになるなんて、本当にすごいと思う。そんな彼に対し、私は・・・


「よろしく」


と、そう答えた。私に盗みを教えると決めた彼の覚悟に報いるために・・・。

飲み水は魔法で出せばいいじゃんと思う方。万が一魔法が使えるのがばれると人さらいに狙われる可能性が高いと、魔法は封印しています。本編で説明できなかったので、ここで捕捉させていただきます。

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