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盲目少女の転生記~聖女へと至る道~  作者: 海・海
第2章:王国生活
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第4話:家族

「よし、ついたぜ!ここが俺ん家だ!」


案内された家は、お世辞にもきれいとは言えなかった。とてもボロボロで、ギリギリ人が住めるか住めないかというレベルの家だった。


「「「おじゃましま~す」」」


中に入ってみると、掃除はされているのか、それなりにきれいだった。が、やはりボロボロだ。


「あら、お客さん?珍しいわね」


いきなり話しかけたこの女性は、どことなく案内してくれた少年に似ていた。おそらく親子なのだろう。


「母さん、ただいま。こいつらとは、さっき会ったばっかなんだ。名前は、えっと・・・」


「アカネです」 「ミレイです」 「レイラです」


「あら、かわいい子たちね。私はラーニャっていうの。よろしくね」


「そういや自己紹介してなかったな。今更だけど。俺はザックっていうんだ。よろしく」


「「「よろしく」」」


「連れてきたはいいけど、お前らこの街に来たばっかなんだろ。どうゆう経緯だここまで来たんだ?」


いつか聞かれるとは思っていたが、聞かれるとつい言葉に詰まってしまう。でも、よく考えたら隠すことでもないと思い、前世のことやエルフを返り討ちにしたこと以外はすべて話した。そしたら・・・


「お前ら、意外と苦労してたんだな」


「グスッ、あなたたち、行く当てがなくてここに来たのね。いいわ、泊めてあげる。今日からここがあなたたちの家よ」


とんでもないことを提案してきた!確かに、転生早々ハードモードなエルフ生だとは思う。

けど、前世の記憶があるからそれこそ牢屋にいた時は早く外に出れてラッキーくらいに楽観視できたのだ。それなのにこんな、ラーニャさんに至っては泣いてるし!なんだか申し訳ない。

ミレイとレイラも同じ気持ちなのか、複雑そうな表情をしている。ザックもてっきり反対すると思っていたが、そうでもなさそうだ。


「でも、そんなことしたら二人に迷惑がかかるし、申し出はありがたいですけど、そう簡単には・・・」


「子供が遠慮しなくていいのよ」


「お前ら、そんなこと言える立場か?スラムの常識も知らないで、保護者もいないときた。人さらいにはいいカモだろうぜ」


うっ、それを言われると弱い。昨日の夜は連れ去られなかったのが奇跡なのだ。


「ねえ、アカネ。この提案乗ったら?」


「私も悪くないと思うよ。ちょっと後ろめたいけど」


「う~ん、でもねぇ」


私が答えを決めかねでいると、ザックがとんでもない発言をしてきた。


「それにお前ら、髪で耳が見えなかったけどエルフなんだろ?そんな珍しいもん、真っ先に奴隷商館に売り払われるぞ」


「その奴隷って何なの?さっきの男たちも言ってたけど。」


ミレイが質問した。が、これについては私たちに大きくかかわってくるだろう。詳しく聞いたほうがいいかもしれない。


「奴隷っていうのは、簡単に言えば家畜だな。主がいい奴ならそうでもねえが、最悪なやつだったら発狂するまで拷問したり、壊れるまで犯されたりするらしい。逃げようにも、奴隷の首輪ってゆう魔法道具マジックアイテムのせいで、命令に逆らうと体が動けなくなる。

人間の場合、借金返済のために売られたり、犯罪を犯した奴が奴隷になる。

けど、獣人やエルフは違う。人間に捕まったらすぐ奴隷行きだ。

獣人は身体能力が高いから肉体労働を任せられる。後、耳がかわいいとかで犯される。

エルフは美人が多いから娼館とかに売られるのが大半だな。

二人はそっちになるかもしれねえが、アカネはダークエルフだ。最悪、非合法な人体実験とかされるかもな」


想像以上に悲惨だった!犯されるのはまだ予想していた。けど人体実験なんて・・・


「十分あり得る話ね。人間じゃないんだったら。合法非合法やら人道やらは関係ないもの」


ラーニャさんまでそういうのならそうなのだろう。恐ろしい。


「アカネ!提案を受け入れよう!!」


「私アカネちゃんが実験されるのヤダ!!!」


二人の心配は嬉しい。けど、ものすごく悩む。でも、私たちだけじゃあ奴隷になる確率が高いのは明白だ。この世界は前の世界より甘くない。いちいち遠慮してられないのもまた事実。よし!


「悪いけど、お世話になります」


「「よろしくお願いします」」


「おう!よろしくな!」


「フフ、そんなに堅苦しくしなくていいのよ。あっ、そうだ。アカネちゃん、名前は自分で決めたって言ってたわよね?」


「はい、そうで・・・だけど」


「やっぱりいきなり口調を変えろって言っても難しいわよね。無理ってごめんなさい。で、名前のことだけど、私が新しいのを付けてあげよっか?なんか、アカネって、その・・・変だし」


確かに、異世界の名前は違和感があるだろう。転生者の中で前世の名前をそのまま使っているのは私だけだし、ここはお言葉に甘えるとしよう。


「はい、お願いします」


「じゃあ、ちょっと待ってね。名前・・・名前・・・リーナ。うん!リーナがいいわ。そうしましょう!」


「私の名前・・・リーナ」


「かわいいよ。ピッタリだよ」


「よかったね、アカネちゃん」


「魔法で大人四人ふっ飛ばす女には、もったいないくらいの名前だな」


ゴンッ×3


ザックは三人のげんこつにやられた。


<名前をアカネからリーナに変更しました>


ザックの軽口も、久しぶりの脳内アナウンスも気にならないほど、私は新しい名前に、何とも言えない感情を抱いていた。思った以上に感動していることに、自分でも驚いている。


「これから同じ家で暮らすんだから、みんな家族ね。よろしく」


「じゃあ、お前ら全員妹な!兄を敬えよ」


「調子に乗るな!」 とミレイ


(前世の年齢を足せば、下手をすればラーニャさんより年上なんですけど) とレイラ


「家族・・・」


その言葉を聞いて思い出すのは、目が見えないからと蔑んできた、前世の両親。苦しい時に愛情を注がず、遅れてやって来た今世の母。

そんな人たちよりも、私に家をくれた。名前をくれた。家族と呼んでくれたラーニャさんのほうが、母親っぽくて・・・温かくて・・・。


ポロリ


気づいたら、涙を流していた。


「あれ?涙が、止まらないよ・・・う、あああああぁぁぁぁぁん」


「・・・・・」


いつまでも泣き続ける私を、四人は優しく見守ってくれていた。けど、ラーニャさんが途中から抱きしめてくれて、私は思いっきりそれに甘えた。

その後、私は寝るまで泣き続けた。けど、ラーニャさんはそれまで腕の力をゆるめず、ずっと抱きしめてくれた。

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