第2話:不法侵入
登場人物紹介にキキョウを追加しました。
あれから三日後、ついに私たちは森を抜けた。
「よし!抜けたよ二人とも!」
そういって振り返ると・・・
「ハァ、ハァ」
「もう、ダメ」
疲れて息を切らしたミレイと大の字に寝そべったレイラ。
「えっと、人間の国に・・・出発したいんだけど」
「ハァ、無理」
「spに補正がかかっているミレイとチートの権化なアカネちゃんと違って私はか弱い女の子です。ハァ、だから・・・休憩を・・・お願い」
むっ、私のspはチートじゃなくて努力のたまものなんだけど、それは置いといて、人間の国だからってはしゃぎすぎてペースが速かったみたいだ。確かに身体能力に補正がかかっていないレイラにはきつかっただろう。別に急ぐ旅でもないし・・・
「じゃあ30分休憩ね。過ぎたらすぐ出発するよ」
「「りょ~か~い」」
ー30分後ー
「じゃあ出発!」
「「おぉ~!」」
二人とも完全復活。元気で何よりだ。
「ここから少し左寄りに進んだところに人がたくさんいるから、そこが人間の国じゃないかな?」
「何で分かったの?」
「希少スキル『全能の耳』のおかげだよ。会話とか細かいことは分からないけど、なんか音が聞こえるな~くらいには分かるの」
「ちなみに距離は?」
「ん~、10㎞くらいかな?正確には分からないけど」
(すごいな『全能の耳』10km先の音が聞き取れて、正確ではないけど距離もわかるのか。その上心も読めるとなると・・・。)
もしかしたらこのスキル、思った以上にすごいのかもしれない。
「ありがとう。じゃあそこに行こうか。道案内はよろしく」
「任せて!」
****
リバーナ王国
世界有数の大きさを誇る大国である。近くの森(さっきまでアカネたちがいたところ)に住む精霊のおかげで魔物が少なく、国外に出る商人たちの安全地帯となっている。
交易ルートの中間地点となっているため、各国の特産品を手に入れている、裕福な国である。また、その商人たちを 泊めるための宿も極上だと評判の素晴らしい国である。
「それが目の前にあるこの国と」
「すごいねアカネ。結構いい国みたいだよ」
「あくまで私が聞いた噂だから、あまり期待しないで」
聞いたとは、もちろん『全能の耳』でである。
「まあいいや、早速入国しよう」
と、入ろうとしたら近くの門番が・・・
「ん?お前たち見ない顔だな?子供だけで何をしている?」
急に質問が来た。私がとっさに出た答えは
「えっと、私たち、住んでる村を追い出されたんです。そこで、行く当てがないから近くの国に行こうって・・・で、それがこの国なんです!」
言い訳じみた言い方になってしまったが、すべて本当のことである。悲しいことに。
「そうか。見たところ嘘はついていないようだな。聞くが、金はあるのか?この国に入るには、入国料として20000ガル必要なのだが」
ガルとは、この世界のお金の単位のことである。1ガル=1円 もちろん
「すみません。持ってません」
「まあ、そうだろうな。すまんな。お前たちの境遇には同情するが、私とて門番だ。金のないものを通すわけにはいかんのだ」
「いいえ、むしろ謝るのはこっちです!」
「そうです。無理を言ったのはこっちなのに」
「本当にごめんなさい」
この人は本当に私たちに同情しているんだろう。いい人だな~と思った。
「そう言ってもらえると助かる。しかし、子供にしては礼儀正しいな。こんないい子たちを追い出すなんて、その村の人たちは何を考えているんだろうな」
激しく同意(三人とも)
「では、私たちはここを去ります。ご迷惑おかけしました」
「「おかけしました」」
「ああ、気をつけろよ」
閑話休題
「で、どうするのアカネ、国に入れなくなったけど」
「アカネちゃん。早く20000ガル稼がないと」
「何言ってるのレイラ、20000ガルなんて、子供の私たちに稼げるわけないじゃない」
ちなみにこの世界の成人年齢は15歳だ。15歳になったら働くことも飲酒やタバコも許可される。
「「じゃあどうするの!?」
「安心して、策はある」
「ホント!?」
その策の名は・・・
「不法侵入」
****
午前0時。作戦決行の時。
「ねえ、アカネちゃん。本当にやるの?」
「言いたいことは分かってるわ。でも、私たちは今崖っぷちなの。法律を破らないと生きていけないの。分かってちょうだい」
「でも!「レイラ、甘い事いうな。そうしないと生きていけない。覚悟を決めな」 ミレイまで、うん、わかった。私・・・やるよ」
「作戦は、まず私の闇魔法で門番を眠らせる。そして風魔法で空を飛んで門を超える。分かった?じゃあ、開始!」
『隠密』を発動させて門番に近づく。
「闇魔法『スリープ』」
「ん?急に眠く、グー、グー」
どうやら昼間の門番とは交代しているようだ。良かった。あの門番には世話になったからなるべく危害を加えたくなかった。
「「「風魔法『フライ』」」」
三人そろって空を飛ぶ。やっぱり気持ちいい。
そして、着地する。
「ふう、無事不法侵入完りょ「やっぱり来たか~」 !!!」
「よう」
そこには、昼間の門番が立っていた。




